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臨床栄養学

25-136 膵炎に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)急性膵炎の急性期は、経口栄養にする。
(2)急性膵炎では、血清リパーゼ値が低下する。
(3)慢性膵炎では、糖尿病を合併する。
(4)慢性膵炎では、グルカゴン分泌能が上昇する。
(5)慢性膵炎では、脂肪負荷試験を行う。

(1)× 急性膵炎は、膵組織内で活性化された消化酵素により膵実質細胞が自己消化され、浮腫、出血、壊死が起こる状態である。よって、急性期では、消化酵素の分泌を最小限にする必要がある。そのためには、絶食をすることが原則である。

(2)× 急性膵炎では、膵組織の破壊により、消化酵素が血液中に流入する。その結果、トリプシン、キモトリプシン、アミラーゼ、リパーゼなど膵臓から小腸に分泌されるはずの消化酵素の血清中の値が上昇する。

(3)〇 慢性膵炎は、6ヵ月以上持続する炎症により、非可逆的な線維化と膵実質の破壊が起こる。そのため、膵臓の外分泌機能および内分泌機能の両方が障害される。膵臓の内分泌機能として、ランゲルハンス島からのインスリンの分泌があるが、慢性膵炎ではインスリンの分泌が減少するために、糖尿病を合併する。

(4)× ランゲルハンス島は、血糖値を上昇させるグルカゴンも分泌するが、慢性膵炎では、ランゲルハンス島も破壊されるので、グルカゴン分泌能は低下する。

(5)× 慢性膵炎による膵外分泌障害の検査として、BT-PABA試験を行う。PFD試験(pancreatic functional diagnostant test)ともいう。BT-PABAは、N-benzoyl-L-tyrosyl-para-aminobenzoic acidの略称である。BT-PABAが、キモトリプシンにより分解されると、PABAが体内に吸収されて、尿中に排泄される。BT-PABA試験は、BT-PABAを内服後、一定時間内に尿中に排泄されるPABAを測定して、キモトリプシンの分泌がどの程度保たれているかを判定する試験である。脂肪負荷試験は、脂質異常症(高トリグリセリド血症)の検査である。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2011-11-22 17:46 | 第25回国家試験 | Comments(0)