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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

26-22 染色体・核酸に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)クロマチンには、たんぱく質は含まれない。
(2)細胞内のRNAで量が最も少ないのは、リボソームRNA(rRNA)である。
(3)DNAリガーゼは、DNA中の特定塩基配列を切断する。
(4)DNAと伝令RNA(mRNA)の塩基対形成を、DNAの変性と呼ぶ。
(5)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法には、DNAポリメラーゼが用いられる。

(1)× クロマチンは、たんぱく質を含んでいる。DNAは、ヒストン(塩基性タンパク質)に巻きついてヌクレオソーム(nucleosome)を形成する。ヌクレオソームは、折りたたまれてクロマチン(chromatin染色質)を形成する。クロモソーム(chromosome染色体)は、クロマチンが高度に折りたたまれて凝縮したものである。

(2)× リボソームRNA(rRNA)は、細胞内でもっとも量が多いRNAである。細胞内の主なRNAには、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)の3種類ある。全RNAに占める割合は、rRNAが約80%、tRNAが約15%、mRNAが約5%である。

(3)DNAリガーゼは、DNAを複製する際に生成するラギング鎖(岡崎フラグメント)を接続する酵素である。DNAの複製は、DNAポリメラーゼによって行われる。その際、DNA鎖は、5’末端から3’末端の方向へ進む。そのため複製起点からリーディング鎖の逆方向への合成は、短い断片(ラギング鎖)を合成することによって進む。DNAリガーゼは、この断片をつないで連続した鎖にする。DNA中の特定塩基配列を切断するのは、制限酵素である。

(4)× DNAの変性とは、2本鎖のDNAが、高温やアルカリ処理により1本鎖のDNAになることをいう。実験で特定の塩基配列を検出するために、DNAを変性させ、再びDNAどうしで塩基対形成をすることをサザンハイブリダイゼーションという。DNAとRNAで塩基対形成をする場合は、ノーザンハイブリダイゼーションという。

(5)〇 正しい。PCR(polymerase chain reaction)とは、DNA上の特定の領域を試験管内で増幅することである。DNAの変性とDNAポリメラーゼによるDNAの複製を繰り返すことにより、多量の複製を作り出すことができる。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2012-07-24 08:51 | 第26回国家試験 | Comments(0)