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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

26-30 症候に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)浮腫は、血漿膠質浸透圧の上昇により生じる。
(2)タール便は、直腸における出血でみられる。
(3)仮面高血圧は、診察室血圧が高血圧である。
(4)JCS(Japan Come Scale)は、心機能の指標である。
(5)起座呼吸は、呼吸を楽にするために座位をとる状態である。

(1)× 浮腫は、血漿膠質浸透圧の低下により生じる。浮腫とは、間質に水分が異常に蓄積した状態のことである。間質への水分の流入は、毛細血管の基底膜を通して行われる。毛細血管から間質へ水分が出て行こうとする圧力=毛細血管圧-間質の水圧-膠質浸透圧によって決まる。膠質浸透圧とは、血漿たんぱく質濃度が間質液のたんぱく質濃度より高いことによって生じる浸透圧である。膠質浸透圧が低下すると、毛細血管から間質へ水分が出て行こうとする圧力が上昇するので浮腫が生じる。

(2)× タール便は、胃十二指腸潰瘍、胃がんなど上部消化管から、大量に出血があった時にみられる。タール便とは、コールタールのような真っ黒でつやのある便である。ヘモグロビンは、胃酸がまじりあうと黒褐色のヘマチンに変化する。直腸からの出血では、便の表面に新鮮血付着しているのがみられる。

(3)× 家庭血圧は高血圧であるが、診察室血圧が正常血圧であるものを仮面高血圧という。診察室血圧が高血圧で、家庭血圧が正常血圧であるものを白衣高血圧という。

(4)× JCS(Japan Come Scale)は、意識障害の指標である。Comaは、昏睡という意味である。

(5)〇 起座呼吸は、左心不全の症状である。左心不全では、肺静脈圧が上昇し、肺組織にうっ血が起こる。そのため、肺胞内に水分が漏出し肺水腫という状態になり、呼吸困難が出現する。仰臥位(仰向けに寝る)になると、心臓に帰ってくる血液(静脈還流)が増加するので、肺組織のうっ血がひどくなり、呼吸困難も悪化する。座位になると静脈還流が減少するので、肺組織のうっ血も改善し、呼吸が楽になる。これを、起座呼吸という。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2012-07-25 12:39 | 第26回国家試験 | Comments(0)