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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25(追加)-40 腎・尿路疾患に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)小児の急性糸球体腎炎は、半数以上が黄色ブドウ球菌感染に続発する。
(2)高血圧は、ネフローゼ症候群の診断基準の1つである。
(3)血液透析の合併症に、アミロイドーシスがある。
(4)尿路結石は、尿酸結石が最も多い。
(5)大量出血により、腎後性急性腎不全をきたす。

(1)× 小児の急性糸球体腎炎は、80~90%が溶血連鎖球菌(溶連菌)感染に続発する。
 上気道の溶連菌(streptococcus)感染の1~2週間後に発症する。免疫複合体が糸球体基底膜に沈着して、糸球体に炎症を引き起こすことが原因である。溶連菌感染により、血清ASO(抗ストレプトリジンO、anti-streptolysin O)値が上昇する。ストレプトリジンOは、溶連菌が分泌する菌体外毒素である。

(2)× 高血圧は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれない。
 ネフローゼ症候群の診断基準は、①大量のたんぱく尿(3.5ℊ/日以上)、②低たんぱく血症(総たんぱく6.0ℊ/㎗以下またはアルブミン3.0ℊ/㎗以下)、③高脂血症(総コレステロール250㎎/㎗以上)、④浮腫の4項目である。このうち、①と②が必須項目である。国家試験対策として、検査の数値まで覚えておこう。

(3)○ 血液透析の合併症に、アミロイドーシスがある。
 血液透析の主な合併症は、体外循環による空気塞栓、抗凝固薬の使用による出血、短時間での水、溶質の除去による不均衡症候群がある。長期透析の合併症として、心筋肥大(透析心)、アルミニウム中毒、二次性副甲状腺機能亢進症、透析アミロイドーシスがある。透析アミロイドーシスでは、β2ミクログロブリンが組織に沈着し、手根管症候群や破壊性脊椎関節症などを起こす。

(4)× 尿路結石は、シュウ酸カルシウムが最も多い。
 シュウ酸カルシウム結石が、約80%を占めている。シュウ酸カルシウム結石には、リン酸カルシウムを含んでいるものもある。その他、リン酸マグネシウムアンモニウム結石が7%、尿酸結石が5%、シスチンが1%である。

(5)× 大量出血により、腎前性急性腎不全をきたす。
 急性腎不全は、原因より腎前性、腎性、腎後性に分類される。腎前性とは、腎臓に流入する血流量が急激に減少することが原因で、糸球体の濾過ができなくなって起こるものをいう。大量出血、ショックなどによる血圧低下が原因となる。腎性とは、腎臓の疾患が原因で糸球体の濾過ができなくなって起こるものをいう。糸球体腎炎などが原因となる。腎後性とは、尿管、膀胱、尿道の通過障害が原因で、尿の排泄が障害されて糸球体の濾過ができなくなって起こるものをいう。結石や腫瘍などが原因となる。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2012-11-22 11:48 | 第25回国家試験(追加) | Comments(0)