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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

25(追加)-42 原発性アルドステロン症にみられる症候である。正しいのはどれか。
(1)低血圧
(2)高カルシウム血症
(3)満月様顔貌
(4)眼球突出
(5)低カリウム血症

 原発性アルドステロン症(Conn症候群)は、副腎皮質からアルドステロンが過剰に分泌されて、高血圧、低K血症、代謝性アルカローシスなどが出現する疾患である。アルドステロンが過剰に分泌される原因としては、一側の良性腫瘍(80~90%)が多く、両側の過形成(10~20%)のこともある。30~50歳代の女性に多い。

(1)× 過剰なアルドステロンによりNa+の再吸収が亢進するので、体液量が増加する。その結果、循環血液量も増加するので心拍出量も増加する。心拍出量が増加すれば、血圧も上昇する。よって、高血圧となる。

(2)× 血清Ca濃度は基準範囲にあることが多い。ただし、高度の低K血症があると、K+が細胞内から細胞外に移動する。それに伴ってH+が細胞外から細胞内移動する。その結果、細胞外のH+が減少するので、代謝性アルカローシスになる。アルカローシスでは、たんぱく質と結合するCa2+が増加して、イオン化Ca2+濃度が低下することから、テタニーなど低Ca血症の症状が出現することがある。

(3)× 満月様顔貌は、糖質コルチコイド(コルチゾル)が過剰に分泌されるクッシング症候群の症状の一つである。

(4)× 眼球突出は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるバセドウ病(甲状腺機能亢進症)の症状の1つである。

(5)○ アルドステロンは、腎臓の集合管上皮細胞の基底膜側にあるNa-Kポンプを活性化する。その結果、上皮細胞内のNa濃度が低下し、K濃度が上昇する。その結果、上皮細胞の管腔側にあるNaチャネルを通ってNaが再吸収され、Kチャネルを通ってKが排泄される。その結果、低K血症になる。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2012-11-22 15:39 | 第25回国家試験(追加) | Comments(0)