2005年 11月 28日
生化学
(1)グリコーゲン合成酵素の反応では、UDP-グルコースからグルコース残基が供給される。
(2)グリコーゲンの合成は、細胞内cAMP濃度の上昇によって促進される。
(3)グリコーゲンホスホリラーゼによる反応生成物はグルコースである。
(4)細胞内でのグリコーゲンの分解は、分岐部に達すると停止する。
(5)グルカゴンは筋肉細胞内のグリコーゲン分解を促進する。
グリコーゲンの合成には3つの酵素が関わっている。
①UDP-グルコースピロホスホリラーゼ
細胞内に入ったグルコースは、まず、ヘキソキナーゼの作用でグルコース-6-リン酸(G-6-P)になって、次にホスホグルコムターゼの作用でグルコース-1-リン酸(G-1-P)になる。これにUDP-グルコースピロホスホリラーゼが作用してUDP-グルコースができる。
②グリコーゲン合成酵素
グリコーゲン合成酵素はUDP-グルコースのグルコース部分をすでに存在するグリコーゲンの末端にalpha(1→4)結合によって重合させる。
③グリコーゲン分岐酵素
グリコーゲン分岐酵素はalpha(1→6)結合によってグリコーゲン分子を分岐させる。
グリコーゲンの分解にも3つの酵素が関わっている。
①ホスホリラーゼ
ホスホリラーゼはグリコーゲン分子の末端のalpha(1→4)結合を、リン酸を加えることによって切断する。その結果、G-1-Pができる。これを加リン酸分解という。
②グリコーゲン脱分岐酵素
グリコーゲン脱分岐酵素はグリコーゲンの枝を切り取ってホスホリラーゼが働きやすくする。
③ホスホグルコムターゼ
G-1-PをG-6-Pに変換する。
グリコーゲンの合成と分解の律速酵素はグリコーゲン合成酵素とホスホリラーゼだ。この2つの酵素活性は酵素のリン酸化・脱リン酸化によって調節されている。グリコーゲン合成酵素はリン酸化により不活性化され、脱リン酸化により活性化される。一方、ホスホリラーゼはリン酸化により活性化され、脱リン酸化により不活性化される。cAMPはこれらの酵素のリン酸化を促進する作用がある。その理由はcAMP依存性プロテインキナーゼが関わっているんだけど、長くなりそうなので、詳しいことは教科書で調べてくれ。そのうち、機会があればここで解説することにする。まあ、とにかく、そういうことだから、cAMPが増加すればグリコーゲン合成酵素は不活性化され、ホスホリラーゼが活性化されるのでグリコーゲン分解が促進されるし、逆に、cAMPが減少するとグリコーゲン合成酵素が活性化され、ホスホリラーゼが不活性化されるのでグリコーゲン合成が促進されるということがわかるね。
細胞内のcAMP濃度はホルモンによって調節されている。例えば、肝臓ではグルカゴンやアドレナリン・ノルアドレナリンの作用でcAMPが増加してグリコーゲン分解を促進する。筋肉ではアドレナリン・ノルアドレナリンの作用でcAMPが増加してグリコーゲン分解を促進する。ただし、グルカゴンを筋肉に作用させてもcAMPは増加しないので、グリコーゲンの分解は促進されない。なぜか?たぶん、筋肉はグルカゴンに対する受容体を持っていないので反応できないのだろう。
さて、ここで疑問に思うことはないだろうか。グリコーゲン合成酵素はもともとあるグリコーゲンにグルコースを結合させる酵素だ。その元になるグリコーゲンはどうやってできたのだろうか。実は、グリコーゲンには種があるんだ。この種はグリコゲニンというタンパク質で、このタンパク質にグルコースがいくつかついてグリコーゲンのプライマーができる。このプライマーにグリコーゲン合成酵素が作用して大きなグリコーゲン分子が出来上がるんだ。
正解は(1)だ。