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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

27-50 感染症に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)エイズ(AIDS)では、CD4陽性リンパ球が増加する。
(2)妊娠の麻疹感染は、胎児奇形を生じやすい。
(3)腸管出血性大腸菌の感染の有無は、ツベルクリン反応で調べる。
(4)マイコプラズマ肺炎は、ウイルス感染症である。
(5)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、院内感染の原因となる。

(1)× エイズ(AIDS)では、CD4陽性リンパ球が減少する。AIDSは、HIV(human immunodeficiency virus)感染症である。HIVは、RNAウイルスである。HIVは、外膜にあるたんぱく質gp120が、T細胞のCD4受容体と結合して、細胞内にRNAを注入し、大量に複製される。その結果、CD4陽性リンパ球は、障害され、数が減少する。

(2)× 胎児奇形を生じやすいウイルス感染症は、風疹である。妊娠中の女性が風疹に罹患すると、流産・早産の原因になる。また、胎児が感染して妊娠が継続すると奇形児を出産する危険がある。これを先天性風疹症候群という。先天奇形の発生頻度は、妊娠1ヶ月で50%、2ヶ月で30%、3ヶ月で20%、4ヶ月で5%である。主な奇形として、低体重、心奇形、脳性麻痺、聴力障害、白内障などがみられる。

(3)× 腸管出血性大腸菌の感染の有無は、細菌培養およびベロ毒素の検出によって行う。ツベルクリン反応は、結核感染の有無を調べる検査である。

(4)× マイコプラズマ肺炎は、細菌感染症である。

(5)○ メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、院内感染の原因となる。院内感染とは、病院内の感染症である。保菌者との接触、針刺し事故、狭い病室の共有、不潔な医療行為などにより感染する。インフルエンザなど感染力の強い病原体ばかりだけでなく、菌交代症や日和見感染を起こす弱毒菌が原因菌になることもある。菌交代症とは、病原性の強い細菌感染症を治療するために抗生物質を使用すると、その抗生物質に感受性がある細菌は減少・消滅するが、感受性のない細菌は逆に増殖すること(菌交代現象)により感染症を起こすことである。菌交代現象を起こしやすい細菌は一般に病原性が弱く(弱毒菌)ことが多い。菌交代症は何らかの理由で感染防御能が低下した患者で、抗生物質による化学療法を行った場合に起こりやすい。日和見感染とは、通常の状態では無害な真菌や弱毒菌であっても、宿主の感染防御能の低下により感染症を発症することをいう。MRSAは、菌交代症や日和見感染を起こす代表例である。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2013-07-29 14:07 | 第27回国家試験 | Comments(0)