2013年 08月 02日
臨床栄養学
α-グルコシダーゼ阻害薬は、腸管粘膜上での二糖類の分解を抑制し、グルコースの吸収を遅らせることによって、食後血糖値の上昇を抑制する薬である。スルフォニル尿素薬は、細胞のSU受容体(ATP感受性Kチャネル)に直接働いてインスリンを分泌させることにより、血糖値を低下させる薬である。
血糖値を下げる薬を飲んでいる2型糖尿病患者が、何らかの理由で食事の摂取量が少なくなった場合、血糖値が下がりすぎて、低血糖を起こす可能性がある。この人は、実際に血糖値は40㎎/㎗に低下し、手足のふるえや脱力感など、低血糖症状が出現している。
このような患者に対しては、直ちに糖質を投与して、血糖値を上昇させなければならない。
(1)× インスリン投与は、さらに血糖値を低下させるのでダメ。
(2)× フルクトース投与は、体内に吸収されて、肝臓でグルコースに変換されるのに、時間がかかる。直ちに血糖値(血中グルコース濃度)を上昇させることができないのでダメ。
(3)○ グルコース投与で、血糖値を上昇させることができる。
(4)× スクロースは、グルコースとフルクトースからなる二糖類なので、α-グルコシダーゼ阻害薬の作用により小腸粘膜上のスクラーゼ活性が阻害されているので単糖類に分解されず、グルコースを吸収することができない。よって、血糖値を上昇させることができないのでダメ。
(5)× ラクトースは、グルコースとガラクトースからなる二糖類である。スクロースと同様の理由で、ラクターゼ活性が阻害され、血糖値を上昇させることはできないのでダメ。
正解(3)