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臨床栄養学

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23-127 マラスムス型栄養障害に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)体重変化による評価は、利用できない。
(2)体脂肪量は、増加する。
(3)エネルギー摂取量は、必要量を満たしていない。
(4)治療開始時には、投与エネルギー量を50㎉/㎏標準体重/日以上とする。
(5)食物繊維は、20ℊ/1,000㎉以上とする。

(1)× 体重変化による評価は、利用できる。
 マラスムスは、長期間の栄養不足により、体脂肪が著明に減少した状態である。BMIにより重症度を判定することができる。一方、クワシオルコルは、浮腫が出現するために、水分貯留の影響が出るので体重変化による評価を利用できない。

(2)× 体脂肪量は、著明に減少する。
 摂取エネルギーの不足を補うために、体脂肪の異化が促進するので、体脂肪量は著明に減少する。糖質の不足により、インスリン分泌の減少と血糖値低下による交感神経の緊張が、脂肪細胞に貯蔵されているトリグリセリドを脂肪酸とグリセロールに分解し、血液中に放出する。エネルギーを供給するために骨格筋たんぱく質の異化も進行するが、内臓たんぱく質の異化は比較的保たれるので、重症になるまで免疫機能や創傷治癒機能は維持されている。

(3)〇 エネルギー摂取量は、必要量を満たしていない。

(4)× 治療開始時は、リフィーディング症候群を予防するために、少量から開始し、症状や血液検査で電解質をモニタリングしながら、時間をかけて徐々に必要エネルギー量まで増量する。
 マラスムスでは、長期間の栄養不足に体内の代謝が適応している。急激に過剰なエネルギーを投与すると、リフィーディング症候群が起こる。細胞内の急激な代謝の亢進により、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低リン血症が出現する。

(5)× 食物繊維は、食事摂取基準に準じて、消化吸収の良いものを投与する。
 マラスムスにおいて、食事摂取基準以上の多量の食物繊維の投与が必要な理由は、なにもない。20ℊ/1,000㎉以上は過剰であり、必要なエネルギーと栄養素の吸収を阻害する可能性がある。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2013-09-20 17:39 | 第23回国家試験 | Comments(0)