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臨床栄養学

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23-145 胃全摘術後の巨赤芽球性貧血に関する記述である。正しいものの組合せはどれか。
a キャッスル内因子の欠乏が原因である。
b 神経症状がみられる。
c 葉酸の静脈内投与で治療する。
d 術後5年以上経過すれば治癒する。
(1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd

a〇 キャッスル内因子の欠乏が原因である。
 巨赤芽球貧血は、ビタミンB12または葉酸の欠乏によって出現する。ビタミンB12は、胃腺の壁細胞から分泌されるたんぱく質であるキャッスル内因子と結合して、回腸で吸収される。胃全摘術後は、キャッスル内因子が分泌されないので、ビタミンB12欠乏になり、巨赤芽球性貧血が出現する。ビタミンB12欠乏により出現する貧血を、悪性貧血という。

b〇 神経症状がみられる。
 ビタミンB12が欠乏すると、メチオニン合成酵素の機能が低下する。メチオニンが不足すると、髄鞘の維持が不十分になり、亜急性連合性脊髄変性症が出現する。神経症状として、脊髄後索障害(深部感覚障害)、脊髄側索障害(錐体路障害)、末梢神経障害による四肢のしびれ、知覚麻痺、歩行障害などがみられる。放置するとメチオニン不足による神経障害により死にいたる。ちなみに、葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血では、神経症状は出現しない。

c× ビタミンB12の静脈内投与で治療する。
 ビタミンB12の吸収障害があるので、非経口投与する。

d× 術後3~6年して、症状が出現する。
 ビタミンB12は、通常肝臓に3~6年分貯蔵されているので、胃切除後3~6年して発症する。

正解(1)
by kanri-kokushi | 2014-01-19 14:59 | 第23回国家試験 | Comments(0)