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臨床栄養学

25(追加)-127 食事療法に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)七分粥食は、重湯が7割、全粥が3割である。
(2)無菌食は、感染症患者に用いられる。
(3)多価不飽和脂肪酸の多い食事は、胆石症に用いられる。
(4)頻回食は、胃切除後に用いられる。
(5)低エネルギー食は、腎臓病に用いられる。

(1)× 七分粥食は、重湯が3割、全粥が7割である。
 ちなみに、全粥は、米の5倍量の水で炊いたものである。五分粥食は、重湯が5割、全粥が5割、三分粥食は、重湯が7割、全粥が3割である。重湯は、米の10倍量の水で炊いた粥の上澄み液のことである。

(2)× 無菌食は、感染症患者に用いられる。
 無菌食は、骨髄移植患者など、免疫能が低下している患者に用いられる。

(3)× 適当量の多価不飽和脂肪酸を含む食事は、胆石症に用いられる。
 胆石症の発作期は、1~2日絶食とし、静脈栄養を行う。疼痛に対して、鎮痙剤、鎮痛剤を投与する。症状が治まれば、糖質中心の流動食から開始し、少量・分割食とする。回復期には、低脂肪食(30ℊ/日以下)とし、胆嚢収縮を抑制し、疝痛発作の誘発を防止する。胃酸分泌を刺激するアルコール、カフェイン、炭酸飲料、香辛料などは控える。エネルギー、たんぱく質は日本人の食事摂取基準を目安にする。寛解期には、暴飲・暴食をさけ、規則正しい食生活を心がける。極端な脂肪制限は、脂溶性ビタミンの不足を引き起こし、胆嚢収縮抑制による胆嚢内の胆汁停滞を促進するので、適量の脂質(エネルギー比20~25%)を摂取する。コレステロール、動物性脂肪の過剰摂取は控える。不飽和脂肪酸の多い植物油には、コレステロール生成抑制作用があるので、適当量摂取する。血清コレステロール低下作用と便秘改善作用を期待して、食物繊維を多くする。

(4)〇 頻回食は、胃切除後に用いられる。
 ダンピング症候群を予防するために、少量頻回食とする。胃切除後には、ダンピング症候群が出現する。早期ダンピング症候群は、食物が直接空腸に流入することにより、高浸透圧刺激と急激な拡張刺激による神経内分泌反応を引き起こす。食後10~30分後に腹痛、悪心、嘔吐、腹鳴、下痢などの腹部症状、動悸、発汗、冷や汗、めまい、呼吸困難、失神などの全身症状が出現する。晩期(後期)ダンピング症候群は、糖質の急速な吸収により、高血糖(1時間以内)が出現し、その後のインスリン過剰分泌による反応性低血糖が引き起こされる。食後90分~3時間後に、脱力感、めまい、冷や汗、動悸、手の震え、意識障害など低血糖症状が出現し、30~40分持続する。

(5)× 低エネルギー食は、腎臓病に用いられる。
 腎臓病食の原則は、高エネルギー低たんぱく食である。ただし、現在のガイドラインでは、摂取エネルギーは、「日本人の食事摂取基準と同一」とされている。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2014-03-19 15:03 | 第25回国家試験(追加) | Comments(0)