2014年 12月 12日
臨床栄養学
25(追加)-138 インスリンの作用である。正しいのはどれか。
(1)肝臓での糖新生促進
(2)脂肪組織での脂肪合成促進
(3)筋肉でのたんぱく質酸化促進
(4)肝臓でのケトン体生成促進
(5)筋肉でのグリコーゲン酸化促進
インスリンは、血糖値の上昇がきっかけとなって分泌され、血液中のグルコースの細胞内への取り込みを促進することにより、血糖値を低下させるホルモンである。普通、血糖値が上昇するのは食後である。人類は、飢餓の時代を生き抜いてきた。摂取した栄養素は、できるだけ無駄遣いしたくない。よって、食後に分泌されるインスリンは、摂取した栄養素を様々な形で体内に蓄積する方向に代謝を進めるホルモンであるということができる。つまり、インスリンは同化ホルモンのひとつである。この文脈の中で考えれば、自ずと正解が見えてくる。
(1)× 糖新生は、血糖値が低下したときに、脳にグルコースを送るために肝臓でグルコースを合成するものである。つまり、血糖値が低下したときに活性化される代謝経路である。インスリンは、肝臓での糖新生を抑制し、解糖を促進する。
(2)○ インスリンは、脂肪組織での脂肪合成を促進し、この先訪れるかもしれない飢餓に備える。
(3)× 筋肉たんぱく質の酸化(異化)は、飢餓の状態で、生命維持に必要なエネルギーを作り出すために起こる。インスリンは、筋肉たんぱく質合成を促進し、酸化を抑制する。
(4)× ケトン体は、エネルギー源としての糖質が欠乏した状態で、脂肪酸の酸化が促進したときに産生される。飢餓時には、ケトン体は脳や筋肉における重要なエネルギー源である。インスリンは、ケトン体の産生を抑制する。
(5)× 筋肉に蓄えられているグリコーゲンの酸化(異化)は、血液から筋肉へのグルコースの供給が不足したときに起こる。グルコースの供給不足を補うために、グリコーゲンの形で貯蔵していたグルコースを切り出し、エネルギー源として利用する。インスリンは、この先訪れるかもしれないグルコース不足に備えるために、食後の筋肉細胞内でのグリコーゲン合成を促進する。
正解(2)