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臨床栄養学

25(追加)-142 貧血に関する記述である。正しいのはどれか。

1)鉄欠乏性貧血は、大球性高色素性である。
2)胃潰瘍による貧血では、便中のビリベルジンが増加している。
3)溶血性貧血では、直接ビリルビンの増加による黄疸がみられる。
4)溶血性貧血の骨髄は、過形成である。
5)再生不良性貧血は、血小板数が増加する。

1)× 鉄欠乏性貧血は、小球性正色素性貧血である。貧血の検査には、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリットの3つがある。この3つの数字を使って、平均赤血球容積(mean corpuscular volume,MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(mean corpuscular hemoglobin, MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(mean corpuscular hemoglobin concentration, MCHC)を計算することができる。貧血かどうかは、酸素を運ぶ能力で判定するので、ヘモグロビン濃度で判定する。貧血の原因には、鉄欠乏によるヘモグロビンの合成障害、ビタミンB12欠乏によるDNAの合成障害、血液幹細胞の以上による造血障害などがある。鉄欠乏性貧血は、赤血球数は比較的保たれているが、一つひとつの赤血球に含まれるヘモグロビン量が減少するので、小球性低色素性貧血になる。

2)× 出血を伴う胃潰瘍では、タール便の排泄が特徴である。胃潰瘍では、慢性的な出血により便中への鉄喪失が増加するため、鉄欠乏性貧血をきたす。ビリベルジンは、体内でヘムが分解される過程で、鉄が取れた後、ポルフィリン環が開いてビリルビンができるまでの中間体である。よって、赤血球の破壊が亢進し、かつ脾臓や肝臓でのビリルビン代謝が低下している状態では、便中への排泄が増加する可能性がある。ビリベルジンは緑色の色素なので、便が緑色になる。

3)× 溶血性貧血では、血中間接ビリルビン濃度が上昇する。溶血性貧血では、赤血球の破壊が亢進する。脾臓でのヘムの分解増加により、不溶性の非抱合型ビリルビン(間接ビリルビン)の産生が増加する。肝臓は、非抱合型ビリルビンをグルクロン酸縫合により可溶性の抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)を生成する。赤血球の破壊が、肝臓の処理能力を超えると血中の非抱合型ビリルビン濃度が上昇する。ビリルビンは、ジアゾ試薬による発色で測定される。血清にジアゾ試薬だけを加えて測定されるものを、直接(抱合型)ビリルビンという。反応促進剤の存在下で血清にジアゾ試薬加えて測定されたものを総ビリルビンという。間接(非抱合型)ビリルビンは、総ビリルビンから直接ビリルビンを引いて求める。つまり、ジアゾ試薬は抱合型ビリルビンと直接反応できるので直接ビリルビンという。非抱合型ビリルビンは反応促進剤によって抱合型ビリルビンに変換しなければ反応できないので、間接ビリルビンという。

4)○ 溶血性貧血では、赤血球の破壊が亢進しているので、それを補うために骨髄での赤血球産生は亢進し、過形成となる。過形成とは、ある臓器を構成する細胞一つひとつの大きさは変わらないが、細胞の増殖により細胞数が増加して臓器の体積が増大することをいう。

5)× 再生不良性貧血は、造血幹細胞の移譲による貧血である。赤血球だけでなく、白血球、血小板の産生を低下するので、白血球数、血小板数は減少する。

正解(4


by kanri-kokushi | 2014-12-15 14:43 | 第25回国家試験(追加) | Comments(0)