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臨床栄養学

25(追加)-144 免疫についての組合せである。誤っているのはどれか。

1)先天性免疫 - ヒト白血球型抗原(HLA
2)後天性免疫 - 水痘感染による抗体
3)能動免疫 - C型肝炎ウイルス抗体
4)液性免疫 - Bリンパ球
5)細胞性免疫 - Tリンパ球

1)○ 先天性免疫とは、生まれつき備わっている非特異的な生体防御機構のことである。自然免疫ともいう。マクロファージ、好中球、NK細胞(natural killer cell)などが、その主役である。NK細胞は、細胞傷害作用を有するリンパ球の一種で、主に腫瘍細胞やウイルス感染細胞を攻撃する。ヒト白血球型抗原(human leukocyte antigen, HLA)とは、白血球に発現する抗原のことであるが、現在では白血球だけに発現しているのではなく、ヒトの主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex, MHC)として、ほとんど全ての細胞表面に発現していることがわかっている。MHCは、自己・非自己を認識する分子で、後天性免疫に重要であるが、NK細胞の表面にも発現していることがわかっているので、これを×にすることはできない。

2)○ 水痘感染など、初めての感染では抗体がないために発症するが、感染により抗体ができると二度とその病気にかからないことを後天性免疫という。ワクチンが病気の予防に有効な理由は、後天性免疫の仕組みを利用して、ある特定の病原体に対する抗体を産生するからである。

3)○ 能動免疫とは、体内に侵入した異物に対して、その個体の免疫機能により抗体を産生することを言う。ヒトは、C型肝炎ウイルスに感染すると、それに対する抗体を能動的に産生することができる。能動免疫により抗体を産生した人の血清を、抗体を持たない人に投与することよって起こす免疫を、受動免疫という。

4)○ 抗体による免疫を液性免疫という。抗体は、B細胞が分化した形質細胞が産生する。体内に異物が侵入すると、まず樹状細胞やマクロファージが異物を貪食する。樹状細胞やマクロファージはリンパの流れにのって、リンパ節に移動する。リンパ節でヘルパーT細胞に抗原提示して、ヘルパーT細胞を活性化する。活性化したヘルパーT細胞は、種々のサイトカイン(cytokines)を分泌する。抗原刺激を受けたB細胞は、ヘルパーT細胞が分泌したサイトカインの作用により増殖し、抗体産生細胞である形質細胞に分化する。産生された抗体は、抗原抗体反応などにより、異物を排除する。はじめて異物が侵入したときは、まずB細胞はIgMを分泌する形質細胞に分化し、少し遅れてIgGを分泌する形質細胞が増加する。これを一次免疫応答という。一次応答を起こしたT細胞とB細胞の一部はメモリー細胞として長く体内に残る。異物が再び侵入したときは、メモリー細胞が迅速かつ強力に反応してIgGを産生する形質細胞が増加する。これを二次免疫応答という。

5)○ 細胞性免疫は、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞killer T cell)による免疫である。液性免疫と同様に抗原提示を受けたヘルパーT細胞が分泌するサイトカインによって活性化された細胞傷害性T細胞が、ウイルス感染細胞などを攻撃して破壊する。

正解なし(すべて正しい)


by kanri-kokushi | 2014-12-15 16:06 | 第25回国家試験(追加) | Comments(0)