2015年 02月 13日
臨床栄養学
選べ。
体重減少 肝腫大 血清アルブミン値低下
(1) 有 無 有
(2) 有 有 無
(3) 有 無 無
(4) 無 有 有
(5) 無 有 無
たんぱく質あるいはエネルギーの摂取不足により、体重減少、成長障害、消耗がもたらされることをたんぱく質エネルギー欠乏症(PEM、protein energy malnutrition)という。このうち、主としてたんぱく質不足によるものをクワシオルコル、主としてエネルギー不足によるものをマラスムス、両方混合したものをマラスミック・クワシオルコルという。
マラスムスでは、摂取エネルギーの不足の結果、身体活動の低下、基礎代謝の低下などの適応が起こる。その結果、不足したエネルギーは副腎皮質ホルモンの分泌増加とインスリン分泌低下により、主に皮下脂肪と筋肉たんぱく質の分解により補われるので、内臓たんぱく質の合成は比較的保たれている。身体所見としては、著しいやせ(標準体重の60%未満)、筋力低下、皮下脂肪減少、Monkey faceなど現れるが、重症以外では、肝機能、血清たんぱく濃度、免疫能などは保たれていることが多い。
クワシオルコルとは、「第2子出生後に第1子が罹患する病気」という意味である。貴重なたんぱく源である母乳を第2子に奪われるということである。たんぱく質不足に対して糖質の摂取が保たれているときは、インスリン分泌が増加し、副腎皮質ホルモンの分泌が低下するので、皮下脂肪や筋肉たんぱく質の分解が抑制される。その結果、内臓たんぱく質の合成が抑制されて内臓細胞の機能障害がおきる。肝臓機能障害により、血漿たんぱく合成が障害され、低アルブミン血症、浮腫が出現する。その他、リポたんぱく質合成障害により、脂肪肝をきたし、肝腫大、腹部膨瘤が出現する。さらに、造血器機能障害による貧血、免疫能低下、神経系の障害による神経障害、知能障害(乳幼児で長期間障害が持続した場合)などが出現する。感染症の合併は、クワシオルコルをさらに悪化させる。
体重減少は、筋肉と体脂肪の減少の指標である。肝腫大は、脂肪肝の指標である、血清アルブミン値は、内臓たんぱく質合成の指標である。
マラスムスでは、筋肉と体脂肪の減少が著しいので体重減少があるが、内臓たんぱく質合成は比較的保たれているので肝腫大と血清アルブミン値低下はない。
正解(3)