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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

29-49 膠原病に関する組合せである。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)全身性エリテマトーデス(SLE) - 蝶形紅斑
(2)全身性エリテマトーデス(SLE) - ルーブス賢炎
(3)関節リウマチ - 急性糸球体腎炎
(4)シヱ一グレン症候群 - 唾液分泌量の減少
(5)強皮症 - 嚥下障害

(1)○ 全身性エリテマトーデス(SLE) - 蝶形紅斑
 SLE(systemic lupus erythematosus)では、顔面の紅斑(蝶形紅斑)、口内炎など皮膚症状、光線過敏症、関節炎、腎臓など臓器病変が出現する。血液検査では、抗核抗体、抗DNA抗体などの自己抗体が陽性になり、自己抗原との免疫複合体が全身組織に沈着する。末梢血検査でLE細胞(核を貪食した白血球)が出現する。好発年齢は、20~40歳代の女性である。

(2)○ 全身性エリテマトーデス(SLE) - ルーブス賢炎
 腎臓病変をループス腎炎といい、タンパク尿、血尿、ネフローゼ症候群などが出現する。

(3)× 関節リウマチ - 関節炎
 RA(rheumatic arthritis)は、多発性の関節炎による関節の破壊と変形を主病変とする疾患である。関節滑膜が増殖してパンヌス(肉芽様の組織)を形成し、やがて軟骨と骨を破壊する。パンヌスから分泌される炎症性サイトカインの作用により、破骨細胞が活性化して骨粗鬆症が出現する。関節炎の症状は朝のこわばりが特徴である。30~40歳代の女性に多い。血液検査では、リウマチ因子が陽性になる。

(4)○ シェーグレン症候群 - 唾液分泌量の減少
 シェーグレン症候群は、慢性唾液腺炎と乾燥性角結膜炎を主徴とする自己免疫疾患である。唾液腺の分泌低下によるドライマウスと涙腺の分泌低下によるドライアイが出現する。

(5)○ 強皮症 - 嚥下障害
 強皮症は、厚く硬い皮膚とレイノー現象が特徴である。全身硬化症(PSS, progressive systemic sclerosis)とも呼ばれる。組織学的には、結合組織の増加による線維化である。消化管(特に食道)の線維化により、蠕動運動が低下し、嚥下障害が出現する。30~50歳の女性に多い。血液検査では、抗核抗体や抗Scl-70抗体が陽性になる。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2015-12-21 15:25 | 第29回国家試験 | Comments(0)