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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

30-26 画像検査に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)胸部レントゲン撮影検査では、X線の透過性が高い部分が白く写る。
(2)CT(コンピュータ断層撮影)検査では、放射線被爆はない。
(3)腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査では、皮下脂肪と内臓脂肪の識別が可能である。
(4)MRI(磁気共鳴画像)検査は、X線を利用して画像を得る。
(5)腹部エコー検査は、妊娠中の女性には禁忌である。

(1)× 胸部レントゲン撮影検査では、X線の透過性が高い部分が黒く写る。
 X線フィルムは、透明なプラスチックの上にX線に反応してハロゲン化銀を生成する試薬を塗布している。X線フィルもの現像液は、ハロゲン化銀を金属の銀に還元し、定着液は銀をフィルム上に定着させる。こうして現像、定着させたX線フィルムの下から光を当てると、銀が定着した部位は光が通り抜けないので黒く見え、銀が定着していない部位は光が通り抜けるので白く見える。脂肪組織や内臓組織などX線の透過性が高い部分は、X線フィルムに到達するX線量が多いので、ハロゲン化銀がたくさんできる。そのため、X線フィルムに光を当てると黒く見える。一方、骨や血液などX線の透過性が低い部分は、X線フィルムに到達するX線量が少ないので、ハロゲン化銀の生成は少ない。そのため、X線フィルムに光を当てると白く見える。

(2)× CT(コンピュータ断層撮影)検査では、放射線被爆がある。
 CTとは、人体のある断面で多くの方向からX線を照射し、その断面でのX線吸収に関する多数の情報を収集し、コンピュータで処理して画像を再構成するものである。X線を利用しているので放射線被ばくはある。

(3)〇 腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査では、皮下脂肪と内臓脂肪の識別が可能である。
 腹部CTは、腹部の断面構造を画像化するので、皮膚と腹筋の間の皮下脂肪と、腹筋の内側にある内臓脂肪を識別できる。

(4)× MRI(磁気共鳴画像)検査は、磁気を利用して画像を得る。
 MRIとは、体内にもっとも豊富に存在する水素原子をある磁場に置いたときに起こる核磁気共鳴現象を検出することにより、体の特定の断層面を画像するものである。

(5)× 腹部エコー検査は、妊娠中の女性にも利用可能である。
 パルス状の超音波(1~10MHz)を生体内に放射し、異なる性質の組織を通過するときに反射される超音波の方向、距離を測定して画像として検出するものである。肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓などの腹部臓器だけでなく、甲状腺、乳腺、血管(動脈硬化症)、子宮、胎児などの検査でも有用性が認められている。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2016-07-06 14:02 | 第30回国家試験 | Comments(0)