2016年 08月 04日
臨床栄養学
(1)リフィーディング(refeeding)症候群の評価には、血清リン値を用いる。
(2)エネルギー投与量の評価には、体重の変化を用いる。
(3)たんぱく質投与量の評価には、窒素出納を用いる。
(4)糖質投与量の評価には、血清クレアチニン値を用いる。
(5)水分投与量の評価には、水分出納を用いる。
(1)○ リフィーディング(refeeding)症候群の評価には、血清リン値を用いる。
リフィーディング症候群は、慢性的な飢餓状態の患者に、大量のブドウ糖を投与した際に発生する一連の代謝性合併症の総称である。飢餓状態では、体脂肪を分解して遊離脂肪酸とケトン体をエネルギー源とする代謝経路に、生体が適応している。飢餓状態の患者に再栄養を行なうと、エネルギー源が脂肪や蛋白から糖質へ、急速に転換される。
電解質異常では、低K血症、低Mg血症、低P血症が起こる。インスリン欠乏状態では、Na-Kポンプ活性が低下しているが、糖質が急激に入ると、インスリン分泌が刺激され、細胞のK取り込みが増加して低K血症となる。低K血症は、不整脈の原因となる。細胞の代謝増加に伴い、細胞のMg取り込みが増加し、低Mg血症となる。糖質の代謝では、多くのPを必要とする。さらに糖質負荷によりATP産生の増加に伴い、Pが消費されるため、細胞のP取り込みが増加し、低P血症となる。低P血症では、赤血球中の2,3-DPGが低下するので、ヘモグロビンの酸素親和性が増加し、末梢組織、特に心筋など酸素依存度が高い組織で低酸素が出現する。組織の低酸素により、クエン酸回路の機能不全が起こり、その結果、乳酸アシドーシスが起こる。予防のため、必要エネルギー量の半量から投与を始め、血清K値、血清Mg値、血清P値をモニタリングしながら徐々に必要エネルギー量まで増量する。
(2)○ エネルギー投与量の評価には、体重の変化を用いる。
エネルギー保存の法則により、エネルギーの過不足は体重の変化としてモニタリングすることができる。
(3)○ たんぱく質投与量の評価には、窒素出納を用いる。
体内のたんぱく質燃焼量は、尿中尿素窒素排泄量から推定することができる。窒素出納とは、窒素摂取量から窒素排泄量を引いたものである。窒素出納が正であれば、体内のたんぱく質代謝が同化に傾いていると推定され、負であれば異化に傾いていると推定される。
(4)× 糖質投与量の評価には、血糖値と尿ケトン体を用いる。
糖質投与量が過剰な時は、血糖値が上昇する。糖質投与量が不足している時は、尿ケトン体が陽性になる。血清クレアチニン値は腎機能の評価に用いる。
(5)○ 水分投与量の評価には、水分出納を用いる。
水分出納とは、摂取水分量から排泄水分量を引いたものである。摂取水分量には、飲料水1,200㎖、食物中の水1,000㎖、代謝水300㎖が含まれ、合計2,500㎖である。排泄水分量には、尿1,500㎖、不感蒸散900㎖、糞便100㎖が含まれ、合計2,500㎖である。
正解(4)