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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

3119 核酸およびたんぱく質の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1)アデノシン3-リン酸(ATP)は、ヌクレオチドである。

2)イントロンは、RNAポリメラーゼにより転写されない。

3)アミノ酸を指定するコドンは、20種類である。

4)たんぱく質の変性では、一次構造が変化する。

5)プロテインキナーゼは、たんぱく質脱リン酸化酵素である。


1)○ アデノシン3-リン酸(ATP)は、ヌクレオチドである。

 糖に塩基が結合したものをヌクレオシドという。核酸を構成する糖には、リボースまたはデオキシリボースの2種類がある。核酸を構成する塩基は、プリン塩基(アデニン、グアニン)とピリミジン塩基(シトシン、チミン、ウラシル)の2種類がある。ヌクレオシドにリン酸が結合ものをヌクレオチドという。アデニンとリボースが結合したヌクレオシドをアデノシンという。アデノシンにリン酸が3個結合したヌクレオチドをアデノシン3-リン酸(ATP)という。


2)× RNAポリメラーゼは、エキソンとイントロンの両方を転写する。

 DNAの塩基配列を鋳型にしてmRNAを合成することを転写という。mRNAを合成する酵素はRNAポリメラーゼである。RNAポリメラーゼは遺伝子の上流にあるプロモーター領域に結合して転写を開始する。DNA上の遺伝子の多くは、たんぱく質の配列をコードしているエキソンがいくつかに分かれて存在し、その間に遺伝情報を含まないイントロンが配置している。RNAポリメラーゼは、エキソンとイントロンの両方を転写する。転写直後のmRNAはエキソンとイントロンを含んでいるが、その後スプライシングという過程でイントロンが取り除かれ、エキソンだけからなる成熟mRNAができる。


3)× アミノ酸を指定するコドンは、64種類ある。

 1つのアミノ酸は、3つの塩基配列でコードされている。mRNA上の3つの塩基配列をコドンという。mRNAがリボソームに結合すると、tRNAがアミノ酸を運んでくる。tRNAにはmRNA上のコドンと相補的な3つの塩基配列からなるアンチコドンがある。リボソーム上で2つのtRNAが並び、それぞれが運んできたアミノ酸をペプチド結合で結合させる。これを繰り返したポリペプチドを合成する。mRNAを構成する塩基は4種類(アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル)なので、順列組み合わせにより4×4×464種類のコドンが存在する。


4)× たんぱく質の変性では、二次、三次、四次構造が変化する。

 たんぱく質を構成するポリペプチドのアミノ酸配列のことを一次構造という。ポリペプチドが折りたたまれて固有の立体構造を形成する時、部分的に多くのたんぱく質に共通にみられる基本構造(αヘリックスとβシート)を二次構造という。部分的に二次構造を含みつつ1本のポリペプチドで構成される立体構造を三次構造という。複数のポリペプチド(サブユニット)が会合して構成される立体構造を四次構造という。変性とは、熱やpHの変化によりたんぱく質の立体構造が変化することであり、分解することではないので、一次構造は変化しない。二次、三次、四次構造は、水素結合、静電結合、疎水結合、ファンデルワールス力などが関与しているので、熱やpHの変化の影響を受けて立体構造が変化(変性)する。


5)× プロテインキナーゼは、たんぱく質リン酸化酵素である。

 キナーゼは、ATPなどヌクレオチド3-リン酸の末端のリン酸を、基質の水酸基やカルボキシル基の転移する酵素である。プロテインキナーゼは、ATPからリン酸基をたんぱく質(プロテイン)に転移する酵素(たんぱく質リン酸化酵素)である。


正解(1


by kanri-kokushi | 2017-08-04 09:47 | 第31回国家試験 | Comments(0)