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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

3130 消化器系の構造と機能に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

1)舌下腺は、唾液腺である。

2)食道には、漿膜がない。

3)ビタミンB12は、胃で吸収される。

4)十二指腸は、腹腔の後壁に固定されている。

5)虫垂は、盲腸の部位にある。


1)○ 舌下腺は、唾液腺である。

 大唾液腺は、耳下腺、舌下腺、顎下腺の3つである。耳下腺の導管は、口腔前庭(上顎第2大臼歯に向かい合う部位)に開口する。舌下腺の導管は複数あり、最前の1本は顎下腺管と合流して舌下小丘に開口し、その他は舌下ひだに開口する。顎下腺の導管は、舌下小丘に開口する。小唾液腺は、口腔粘膜に散在している。

 唾液は、①αアミラーゼ(プチアリン)(α14グリコシド結合とα16グリコシド結合を加水分解)、②粘液(ムチンと呼ばれる粘性の糖タンパク質)、③リゾチーム(細菌の細胞壁の糖鎖を切断する酵素)、④免疫グロブリン(IgA)を含んでいる。

 副交感神経は、アミラーゼとムチンを含む薄い唾液を大量に分泌させる。舌下腺と顎下腺には顔面神経が分布し、耳下腺には舌咽神経が分布している。交感神経も、唾液分泌を刺激するが、血管収縮作用により血流が減少するので水分の少ない濃い唾液が分泌される。


2)○ 食道には、漿膜がない。

 食道の組織は、粘膜、筋層、外膜の三層構造である。粘膜は、粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層からなり、消化管、鼻腔、尿管、膀胱など管腔組織の内面を覆っている。外膜は結合組織でできており、漿膜を持たない。漿膜は、腹腔、胸腔、心膜腔など体腔に面した膜で臓器を包んでいる。漿膜は、漿膜上皮(単層扁平上皮)とその下の薄い結合組織からなる。粘膜が粘り気のある粘液を分泌するのに対し、漿膜はさらさらした漿液を分泌する。


3)× ビタミンB12は、回腸で吸収される。

 食物中のビタミンB12は、まず唾液中のR因子と結合する。胃の壁細胞から内因子が分泌される。十二指腸でR因子は分解され、ビタミンB12は内因子と結合する。内因子-ビタミンB12複合体は回腸末端の腸上皮細胞の内因子受容体を介して吸収される。吸収されたビタミンB12はトランスコバラミンと結合して肝臓に運ばれ貯蔵される。


4)○ 十二指腸は、腹腔の後壁に固定されている。

 消化管の壁は三層構造でできている。内側が粘膜で、中央に筋層があり、外側に漿膜または結合組織がある。漿膜と外膜の違いは、漿膜上皮に覆われているか、結合組織により周囲の臓器に接しているかどうかである。漿膜のある面は腹腔など体腔に面している。十二指腸の前半分は腹腔に面ているので漿膜で覆われているが、後ろ半分は後腹壁に固定され、外膜で覆われている。


5)○ 虫垂は、盲腸の部位にある。

 回腸が大腸に結合している部分から直腸の方向に向けて上行する部分を上行結腸という。それとは反対に下降して行き止まりになる部分を盲腸という。虫垂は、盲腸の先端にぶら下がるようにくっついているリンパ組織である。


正解(3


by kanri-kokushi | 2017-08-28 15:00 | 第31回国家試験 | Comments(0)