2018年 11月 30日
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
32-19 脂質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)ドコサヘキサエン酸は、中鎖脂肪酸である。
(2)アラキドン酸は、n-3系脂肪酸である。
(3)ジアシルグリセロールは、複合脂質である。
(4)胆汁酸は、ステロイドである。
(5)スフィンゴリン脂質は、グリセロールを含む。
(1)× ドコサヘキサエン酸は、長鎖脂肪酸である。脂肪酸は、炭素の数により短鎖脂肪酸(炭素数2~4)、中鎖脂肪酸(炭素数5~10)、長鎖脂肪酸(炭素数11以上)に分類される。
(2)× アラキドン酸は、n-6系脂肪酸である。ω位の炭素(カルボキシル基とは反対側)に最も近い二重結合が3番目と4番目の炭素の間にあるものをn-3系脂肪酸(ω3系脂肪酸)、6番目と7番目の炭素の間にあるものをn-6系脂肪酸(ω6系脂肪酸)、9番目と10番目の炭素の間にあるものをn-9系脂肪酸(ω9系脂肪酸)という。
(3)× ジアセチルグリセロールは、単純脂質である。
(4)〇 胆汁酸は、コレステロールの誘導体でステロール骨格を持つステロイドである。
(5)× スフィンゴリン脂質は、スフィンゴシンに脂肪酸とリン酸が結合したものである。グリセロールに脂肪酸とリン酸が結合したものはグリセロリン酸という。
正解(4)
脂質の分類についてまとめておこう。
単純脂質は、脂質のカルボキシル基(COOH)とアルコールの水酸基(OH)が縮合してできるエステル(-CO-)である。脂肪酸とグリセロールが縮合するとアシルグリセロールができる。脂肪酸が1つならモノアシルグリセロール、2つならジアシルグリセロール、3つならトリアシルグリセロールである。脂肪酸とコレステロールが縮合してできるコレステロールエステルも単純脂質である。
複合脂質は、単純脂質にリン酸、糖、含窒素化合物などが結合したもので、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴリン糖脂質などがある。
誘導脂質は、単純脂質や複合脂質を加水分解してできるもので、脂肪酸やコレステロール(遊離型)などがある。
n-3系、n-6系、n-9系脂肪酸の多代表例を覚えておこう。
n-3系:α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)
n-6系:リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸
n-9系:オレイン酸
数を表す接頭語を知っていると、化学名の意味が分かり覚えやすい。
(1)mono-、(2)di-、(3)tri-、(4)tetra-、(5)penta-、(6)hexa-、(7)hepta-、(8)octa-、(9)nona-、(10)deca-、(20)icosa-/eicosa-、(22)docosa-
炭素が6つの糖はヘキソース(hexose)であり、5つの糖はペントース(pentose)である。
炭素数が20個で二重結合を5個持つ脂肪酸はエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid)であり、炭素数が22個で二重結合を6個持つ脂肪酸はドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid)である。