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臨床栄養学

32-126 高尿酸血症の栄養管理および治療薬とその主な効果の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。

1)十分に水分を摂取する - 尿酸産生抑制

2)果糖の過剰摂取を控える - 尿酸排泄促進

3)アロプリノール - 尿酸産生抑制

4)プロベネシド - 尿酸産生抑制

5)コルヒチン - 尿酸産生抑制


 高尿酸血症は、血中尿酸値が上昇した状態である。痛風は、高尿酸血症を基礎病態とし、尿酸塩結晶に起因する急性関節周囲炎(痛風発作)と腎障害(痛風腎、尿酸結石)を主症状とする疾患である。高尿酸血症には、肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧など生活習慣病が高率に合併する。高尿酸血症は男性に多く見られ、30歳台では約30%に達する。女性ホルモンは、尿酸排泄能を高めるので、高尿酸血症は少ない。死因は、以前は腎不全による尿毒症が多かったが、現在は、動脈硬化症の合併率高く、虚血性心疾患、脳血管障害による死亡が増加している。


 尿酸は、プリン塩基が代謝されて生成する。プリン塩基には、アデニンとグアニンがあり、プリンリボヌクレオシドには、アデノシンとグアノシンがある。アデノシンは、アデニンデアミナーゼの作用でイノシンとなり、続いてプリンヌクレオシドホスホリラーゼの作用でヒポキサンチンとなり、さらにキサンチンオキシダーゼの作用でキサンチンになる。グアノシンは、プリンヌクレオシドホスホリラーゼの作用でグアニンとなり、続いてグアニンデアミナーゼの作用でキサンチンになる。キサンチンは、キサンチンオキシダーゼの作用で尿酸になる。


 飲酒は、ビールなどアルコール飲料にプリン体が含まれることもあるが、アルコール自体に血中尿酸値を上昇させる作用がある。まず、アルコールが代謝される過程でATPが消費されてプリン体産生が増加する。また、アルコールの代謝は乳酸の産生を増加させるが、乳酸は尿細管での尿酸の再吸収を増加させる。

 肥満は、インスリン抵抗性に伴う高インスリン血症により尿細管での尿酸の再吸収を増加させる。

 高血圧は、糸球体濾過量の低下により尿酸排泄が低下する。また、降圧薬として使用する利尿薬は、尿酸の再吸収を増加させる。

 糖尿病は、インスリン抵抗性および腎症の合併により、尿酸排泄が低下する。


 治療の原則は、適切なエネルギー摂取とバランスのよい食事及び適切な運動習慣による適正体重の維持、1日のプリン体の摂取量を400㎎以下に制限、飲酒制限、ショ糖と果糖の過剰摂取の制限である。ショ糖と果糖の過剰摂取は、尿酸酸性を増加させる。尿酸結石を予防するための尿路管理としては、12,000㎖の尿量を保つように指導し、就寝前の飲水も勧めて尿が濃縮するのを避ける。発汗時、運動時には飲水を促す。海草、野菜など、尿のアルカリ化に効果がある食品(アルカリ性食品)を勧める。尿アルカリ化薬(重曹、クエン酸K・クエン酸Na配合製剤)を必要に応じて使用する。


1)× 十分に水分を摂取するのは、尿の濃縮による尿酸結石の生成を予防するためである。

2)× 果糖の過剰摂取を控えるのは、尿酸の産生を抑制するためである。

3)〇 アロプリノールは、キサンチン酸化酵素を阻害して、ヒポキサンチン、キサンチンから尿酸への酸化を抑制するためである。ヒポキサンチンとキサンチンが蓄積するが有害ではなく、PRPP消費増加によりプリン体生成抑制効果もある。

4)× プロベネシドは、尿細管での尿酸再吸収を阻害し、尿酸排泄を促進する。尿酸産生過剰型で使用すると、尿酸結石の頻度が高まる。

5)× コルヒチンは、細胞内の微細小管に結合することにより多核白血球が炎症部位へ遊走するのを阻害し、痛風発作の炎症反応を軽減する。足がムズムズする前兆症状の時期に使用すると有効であるが、炎症の極期では効果がない。


正解(3


by kanri-kokushi | 2019-09-10 11:43 | 第32回国家試験 | Comments(0)