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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

33-31 循環器疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1)心房細動は、脳出血のリスク因子である。

2)心室細動は、致死性不整脈である。

3)心筋梗塞による胸痛には、ニトログリセリンが有効である。

4)仮面高血圧では、家庭血圧は正常である。

5)右心不全では、肺うっ血をきたす。


×(1)心房細動は、脳梗塞のリスク因子である。

 心房細動とは、心房内で不規則な電気信号が発生し、心房全体が小刻みにふるえて収縮しなくなる状態である。高血圧や弁膜症など心房に負荷がかかる心疾患が原因になる。心房内に血液が停滞するので、心房内に血栓を生成しやすくなる。心房内にできた血栓がはがれて脳動脈に塞栓すると脳梗塞を起こす。心電図の特徴は、基線の動揺(細動波、f波)、P波の消失、RR間隔の不整である。


〇(2)心室細動は、致死性不整脈である。

 心室細動とは、心室内で多数の不規則な電気信号が発生し、心室筋が小刻みにふるえている状態である。心室筋が収縮できないために心拍出量はほぼゼロになるので、直ちにAEDによる電気ショックなどの適切な処置を行わなければ致死的である。心電図の特徴は、P波、QRS波、T波がなく、不規則に基線のゆれがみられる。


×(3)心筋梗塞による胸痛には、ニトログリセリンは無効である。

 虚血性心疾患の胸痛は、冠状動脈の閉塞により心筋の血流が遮断されたことによって発生する。血流の遮断が短時間であれば心筋細胞が壊死に陥る前に回復する。このような可逆的な状態を狭心症という。血流の遮断が長時間になれば心筋細胞は壊死に陥る。このような血流が再開しても元に戻ることができない不可逆的な状態を心筋梗塞という。ニトログリセリンは冠動脈を拡張させて血流を増やすが、心筋梗塞ではすでに不可逆的な心筋障害が起こっているので胸痛は消失しない。狭心症による胸痛ではニトログリセリンが有効である。


×(4)仮面高血圧では、家庭血圧は高値である。

 仮面高血圧とは、診察室血圧は正常範囲だが、家庭血圧が高値であるものをいう。これに対し、診察室血圧は高値だが、家庭血圧が正常範囲にあるものは白衣高血圧という。


×(5)右心不全では、全身のうっ血をきたす。

 心不全とは、心臓のポンプ機能の低下により十分な血液を動脈に送り出せない状態をいう。正常な心臓では、心臓に返ってきた血液は全て動脈に送り出すことができるが、心不全では送り出すことができない血液が静脈にうっ滞する。右心不全は右心室のポンプ機能が低下した状態である。右心室は全身から帰ってきた血液を肺に送る役割があるので、右心不全では全身の静脈にうっ滞が起こる。左心不全は左心室のポンプ機能が低下した状態である。左心室は肺から帰ってきた血液を全身に送り出す役割があるので、左心不全では肺の静脈に血液がうっ滞する。これを肺うっ血という。


正解(2


by kanri-kokushi | 2022-04-04 12:41 | 第33回国家試験 | Comments(0)