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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

33-39 神経系の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1)交感神経が興奮すると、消化管の運動は亢進する。

2)副交感神経が興奮すると、唾液の分泌は減少する。

3)摂食中枢は、延髄にある。

4)三叉神経は、味覚の伝達に関与する。

5)味蕾は、味覚の受容器である。


×(1)交感神経が興奮すると、消化管の運動は抑制される。

 消化管の運動は、副交感神経の興奮で亢進し、交感神経の興奮で抑制される。つまり、食後にリラックスしているときは副交感神経の活動が優位になって消化管による消化・吸収が進み、緊急事態が発生したときは交感神経が優位になって消化管による消化・吸収は抑えられて後回しにされるということである。


×(2)副交感神経が興奮すると、唾液の分泌は増加する。

 唾液の分泌は交感神経・副交感神経いずれも促進する。ただし、交感神経の場合は唾液腺の血管の収縮により血流が少なくなるので濃くて粘い唾液を分泌する。緊張したときに口の中がネバネバするのはこのためである。副交感神経の場合は唾液腺の血流が増加するので薄くて大量の唾液を分泌することで咀嚼をスムーズに進めることができる。


×(3)摂食中枢は、視床下部にある。

 摂食行動に関する中枢は視床下部にあり、満腹中枢と摂食中枢からなる。満腹中枢は摂食中枢の上位にあり摂食行動を抑制している。空腹時には満腹中枢の活動が低下して摂食中枢の抑制が低下するので食欲が出て摂食行動が出現する。摂食の結果満腹になると満腹中枢の活動が亢進して摂食中枢を抑制するので食欲が抑えられ摂食行動を止める。


×(4)味覚の伝達に関与するのは顔面神経と舌咽神経である。

 舌の前2/3の味覚は顔面神経によって伝達される。舌の後ろ1/3の味覚は舌咽神経によって伝達される。三叉神経は、顔面の知覚と咀嚼筋の運動を支配している。


〇(5)味蕾は、味覚の受容器である。

 味覚受容器は、味蕾にある。味蕾は、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭に分布しており、糸状乳頭には存在しない。味蕾は、味細胞、支持細胞、基底細胞の3種類の細胞から構成されているが、味覚受容器は味細胞にある。味細胞の細胞膜には4つの基本味(酸味、塩味、甘味、苦味)に対する受容体があることがわかっており、1つの味細胞には2種類以上の基本味に対する受容体が存在することが知られている。通常は特定の基本味に対して他の基本味より強く応答すると考えられているが、詳細なメカニズムは不明である。


正解(5


by kanri-kokushi | 2023-01-12 15:58 | 第33回国家試験 | Comments(0)