2023年 01月 25日
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
33-42 免疫グロプリンに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)1本のH鎖と1本のL鎖から構成される。
(2)液性免疫を担当する。
(3)血中に最も多く存在するのは、IgEである。
(4)母乳中に最も多く存在するのは、IgMである。
(5)IgAは、胎盤を通過する。
×(1)2本のH鎖と2本のL鎖から構成される。
抗体の基本形は2本のH鎖と2本のL鎖から構成される。1本のH鎖と1本のL鎖がS-S結合でつながり抗原との結合部位を構成する。これが2つ集まりL鎖どうしがS-S結合でつながって抗原との結合部位を2つ持つY字形の抗体ができる。IgG、IgE、IgDは基本形の1量体である。IgAは基本形2つが結合した2量体である。IgMは基本形5つが結合した5量体である。抗原結合部位が多くなると抗原を凝集する力が強くなる。
〇(2)液性免疫を担当する。
免疫とは、「自己と異なるもの(非自己)を認識して、排除すること」である。非自己である抗原に対して主に抗体産生により排除する免疫を液性免疫という。ウイルスに感染した細胞や腫瘍細胞を細胞傷害性T細胞が攻撃して排除する免疫を細胞性免疫という。
×(3)血中に最も多く存在するのは、IgGである。
IgGは血漿中で最も多い抗体である。胎盤を通過するので出生時のIgGは母親由来である。自分で産生するIgGの血中濃度は5~6歳頃に成人と同レベルに達する。IgMは抗原が侵入したとき、最初に作られる抗体である。1歳頃に成人と同レベルに達する。IgAは分泌液(涙、唾液、腸液、乳汁(特に初乳)など)の中に多く含まれる抗体である。10歳頃に成人と同レベルに達する。IgEは肥満細胞に付着し、即時型アレルギーに関与する抗体である。IgDはB細胞表面の抗原受容体である。
×(4)母乳中に最も多く存在するのは、IgAである。
IgAは分泌液(涙、唾液、腸液、乳汁(特に初乳)など)の中に多く含まれる抗体である。
×(5)IgGは、胎盤を通過する。
IgGは胎盤を通過するので出生時のIgGは母親由来である。
正解(2)