人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

37-27 消化器系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

1)味蕾は、全ての舌乳頭に存在する。

2)膵液は、回腸に分泌される。

3S状結腸は、回腸と上行結腸の間にある。

4)迷走神経の興奮は、胃酸の分泌を促進する。

5GLP-1は、胃内容物の排出を促進する。


×(1)味蕾は、糸状乳頭には存在しない。

 味蕾は、舌乳頭に存在する。舌乳頭は糸状乳頭、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭の4種類がある。このうち糸状乳頭は上皮細胞が角化したものであり、味蕾は存在しない。味蕾は、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭に存在する。


×(2)膵液は、十二指腸に分泌される。

 膵臓の腺房で分泌された膵液は導管を通って主膵管に合流する。主膵管は、総胆管と合流して大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)に開く。膵頭部の腺房から分泌された膵液は、副膵管を通って大十二指腸乳頭の開口部よりやや上方にある小十二指腸乳頭に開く。


×(3S状結腸は、下行結腸と直腸の間にある。

 結腸は、盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸→肛門の順番につながっている。


○(4)迷走神経の興奮は、胃酸の分泌を促進する。

 胃液の分泌は、頭相、胃相、腸相で調節されている。

 頭相では、思考、視覚、嗅覚、味覚などの刺激により迷走神経(副交感神経)を介して胃酸分泌を促進する。迷走神経は、壁細胞を直接刺激して胃酸分泌を促進すると同時に、ガストリン分泌を促進することを介して胃酸分泌を促進する。

 胃相では、食物(たんぱく質、特に肉汁)が幽門部に存在するG細胞を刺激してガストリン分泌を促進する。ガストリンは壁細胞に存在するガストリン受容体に結合して胃酸分泌を促進する。

 腸相では、胃酸が十二指腸粘膜のS細胞を刺激してセクレチン分泌を促進する。セクレチンはG細胞と壁細胞に作用して胃酸分泌を抑制する。小腸粘膜から分泌されて胃酸分泌を抑制するホルモンを総称してエンテロガストロンといい、セクレチン、コレシストキニン(CCK)、胃酸分泌抑制ペプチド(GIP)、ソマトスタチンなどが含まれる。


×(5GLP-1は、胃内容物の排出を抑制する。

 GLP-1glucagon-like peptide-1)は、食物の刺激によって十二指腸粘膜から分泌されるインクレチンの一種である。インクレチンには他にGIPglucose-dependent insulinotropicpolypeptide)がある。インクレチンは膵臓のランゲルハンス島に作用してグルコース刺激によるインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制する。

 また、GLP-1は、胃内容物の排泄を抑制する。これにより糖質が十二指腸に一度に入ることによる急激な血糖値の上昇を抑制する。


正解(4


by kanri-kokushi | 2023-06-06 12:06 | 第37回国家試験 | Comments(0)