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病理学

17-95.免疫についての組合せである。誤っているのはどれか。
(1)アナフィラキシー反応 - 気管支喘息
(2)Ⅱ型アレルギー(細胞障害性反応) - 不適合輸血による溶血
(3)Ⅲ型アレルギー(免疫複合体反応) - 糸球体腎炎
(4)遅延型アレルギー - じんま疹
(5)自己免疫異常 - バセドウ病

アレルギーのタイプとその代表的疾患の組合せを聞く頻出問題だ。

①Ⅰ型アレルギー
即時型またはアナフィラキシー型アレルギーともいい、IgEによる過敏症である。アレルギーの原因物質であるアレルゲンが体内に侵入すると、IgEが産生されて、皮膚や粘膜に存在する肥満細胞の細胞膜表面に結合する。肥満細胞とは、好塩基球が分化した細胞で、細胞内にヒスタミンやプロスタグランジン、ロイコトリエンなどアレルギー反応を起こす化学伝達物質が詰め込まれている。このような準備状態が出来上がったところへ、再度アレルゲンが侵入すると、アレルゲンとIgEが結合して、肥満細胞から化学伝達物質が周辺組織に撒き散らされる。その結果、さまざまなアレルギー症状が出現する。花粉症、気管支喘息、じんま疹、食物アレルギーなどが代表例である。

②Ⅱ型アレルギー
細胞障害型アレルギーともいい、自分の細胞や組織に対する自己抗体ができて、その抗体に補体の活性化が加わって細胞や組織の障害を引き起こすものである。自己免疫性溶血性貧血1型糖尿病などが代表例である。不適合輸血による溶血は自己抗体ではないが、抗体が細胞を破壊することによって不都合なことが起こるという意味で、Ⅱ型アレルギーの1つと考えられる。

③Ⅲ型アレルギー
アルサス型アレルギーともいい、抗原抗体複合体(免疫複合体)が組織に沈着し、そこで補体が活性化されたり、白血球が集まってきて炎症を起こしたりして組織障害を引き起こすものである。よって、細菌感染が起こった場所とは別の場所で炎症が起こることがある。糸球体腎炎膠原病の一部がこの型に分類される。小児の急性糸球体腎炎では上気道の溶連菌感染が原因で起こる。溶連菌が上気道に感染し、免疫反応が起こって治癒した後に、抗原抗体複合体が糸球体に引っかかって糸球体腎炎が起こるもので、糸球体に病原体がやってくるわけではない。

④Ⅳ型アレルギー
ツベルクリン型アレルギー、遅延型アレルギーともいい、Tリンパ球による細胞性免疫による過敏症である。反応は遅く、36~48時間でピークに達し、数日続く。ツベルクリン反応は結核菌抽出物を皮下注射して、2日後に判定するのはこのためだ。

⑤Ⅴ型アレルギー
これは自己抗体の刺激により、組織の機能が異常亢進または異常低下するものをいう。細胞そのものを破壊したりすることはないところが典型的なⅡ型と異なることなので、Ⅱ型の特殊なタイプと考えることもできる。代表はバセドウ病で、甲状腺濾胞細胞のTSH受容体に対する自己抗体が細胞を障害ではなく、刺激することにより甲状腺ホルモンを過剰に産生するようになる。重症筋無力症では、神経筋接合部のアセチルコリン受容体に結合して、アセチルコリンの作用を邪魔するので筋肉の収縮力が低下する。

正解(4)
by kanri-kokushi | 2006-03-28 09:36 | 第17回国家試験 | Comments(0)