人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

20-40.ホルモンに関する記述である。正しいのはどれか。
(1)オキシトシンは、下垂体の前葉から分泌される。
(2)副甲状腺ホルモン(PTH)は、血中のカルシウム濃度を低下させる。
(3)アルドステロンは、副腎皮質ホルモンの1つである。
(4)アドレナリンは、副腎皮質ホルモンの1つである。
(5)バセドウ病では、血中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)が上昇する。

内分泌系の問題は、これまでどおり、ホルモンの名前と、そのホルモンを分泌する内分泌器官の名前と、そのホルモンの効果器官と主な作用についてまとめておけばよさそうだ。難しいところはないが、ホルモンは種類が多いので根気よく覚えよう。

(1)下垂体には前葉と後葉があって、前葉から分泌されるホルモンは成長ホルモン(GH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン(PRL)の6種類だ。刺激ホルモンが多いね。後葉から分泌されるホルモンはオキシトシンバソプレシンの2つだけだ。オキシトシンの作用として、分娩時の子宮壁の平滑筋を収縮と、乳児が乳首を吸引するときの射乳反射の2つを覚えておこう。

(2)副甲状腺ホルモン(PTH)パラトルモンともいう。上皮小体から分泌される。上皮小体は甲状腺の裏側に張り付いている米粒のようは器官で、副甲状腺と呼ばれることもあるが、甲状腺とは関係ない。PTHは、血中Ca濃度低下が刺激になって分泌され、①破骨細胞活性化を介する骨の吸収促進、①腎臓尿細管でのCa再吸収促進、③腎臓でのビタミンD活性化促進を介する小腸でのCa吸収促進の3つの作用によって血中Ca濃度を上昇させる。

(3)副腎皮質からは糖質コルチコイドであるコルチゾル電解質コルチコイドであるアルドステロン副腎アンドロゲン(男性ホルモン)であるデヒドロエピアンドロステロンの3種類のホルモンが分泌される。コルチゾルの分泌はACTHによって、アルドステロンの分泌はレニン・アンギテンシン系によって調節されている。

(4)アドレナリンは副腎髄質から分泌されるホルモンである。副腎髄質は交感神経節後線維が変化したもので、アドレナリンの分泌は副腎髄質に分布する交感神経節前線維によって調節されている。

(5)バセドウ病では甲状腺のTSH受容体に対する自己抗体ができて、その抗体がTSH受容体に結合することにより、甲状腺細胞を刺激して甲状腺ホルモンの産生を促進することによって起こる病気である。血液中の甲状腺ホルモン濃度が上昇すると、視床下部と下垂体へフィードバック調節が働いて、TSH分泌を抑制する。よって、バセドウ病では、血中甲状腺ホルモン(チロキシンとトリヨードサイロニン)濃度の上昇と血中TSH濃度の低下が特徴である。

正解(3)
by kanri-kokushi | 2006-04-25 09:21 | 第20回国家試験 | Comments(0)