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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

20-47.女性より男性に多く見られる疾患である。正しいのはどれか。
(1)関節リウマチ
(2)全身性エリテマトーデス
(3)橋本病
(4)胆石症
(5)痛風

多くの疾患には性差が見られる。病気の診断には必須の知識になる。このような問題に対応するためには、国家試験の出題基準に上げられている疾患について勉強するときには、性差による頻度の違いにも気を配る必要がある。以下に、疾患の概要を簡単にまとめておこう。

(1)関節リウマチは、多発性の関節炎による関節の破壊と変形を主病変とする疾患である。関節炎の症状は朝のこわばりが特徴である。膠原病の中では最も多い疾患で、20~50歳代の女性に多い。男女比は1:3~5である。リウマチ因子が陽性になる。

(2)全身性エリテマトーデスは、抗核抗体、抗DNA抗体などの自己抗体と自己抗原の免疫複合体が全身組織に沈着する疾患である。腎臓病変をループス腎炎といい、タンパク尿、血尿、ネフローゼ症候群などが出現する。20~40歳代の女性に多い。男女比は1:10である。LE細胞が陽性になる。

(3)橋本病は、甲状腺に対する自己免疫疾患で甲状腺組織が破壊されて甲状腺機能低下症になる。20~50歳代の女性に多い。男女比は1:7~15である。抗サイログロブリン抗体、抗ミクロソーム抗体など甲状腺に対する自己抗体が陽性になる。

(4)胆石症は、胆道(胆嚢・胆管)内に固形物(胆石)ができる疾患である。発生する部位により肝内胆石(8%)胆嚢胆石(85%)、総胆管胆石(12%)に分類される。また、成分によりコレステロール胆石(70%)、色素胆石(30%)に分類される。肥満した中年の女性に多い疾患であることは、どの教科書にも書いてあるが、男女比を書いてあるものはなかった。女性ホルモンには、血液中のコレステロールを肝臓に取り込み、胆汁中への排泄を促進する作用があることが、肥満した中年女性の胆石症が多い理由と考えられる。女性ホルモンは血清コレステロール値を低下させるのでいいやつだと思っていたけど、体内のコレステロール産生が増加するような生活をしていると胆石症の危険が増すということだ。

(5)痛風は、核酸に含まれるプリン体の代謝異常による高尿酸血症を基礎病態とし、尿酸塩結晶に起因する急性関節周囲炎(痛風発作)と腎障害(痛風腎、尿酸結石)を主症状とする疾患である。高尿酸血症の人の10人に1人が痛風を発症するといわれている。40~60歳代の男性に多い。女性では閉経後にみられ、閉経前の女性ではまれである。女性ホルモンの血清尿酸値低下作用が関与していると考えられている。最近は20~30歳代の男性で高尿酸血症が増加している。

正解(5)
by kanri-kokushi | 2006-05-05 11:40 | 第20回国家試験 | Comments(0)