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臨床栄養学

20-134.肝硬変の食事療法である。正しいものの組合せはどれか。
a 高アンモニア血症では、食事たんぱく質の摂取を増加させる。
b 腹水がみられる場合には、食塩制限が有効である。
c 便秘予防には、ラクチュロースを投与する。
d 非代償期では、芳香族アミノ酸を投与する。
(1)aとb(2)aとc(3)aとd(4)bとc(5)cとd

 肝硬変の食事療法の原則を理解しておけば、比較的簡単な選択肢なっているが、薬品名が入っていることで、薬物療法に関する知識がないと自信をもって解答できないかもしれない。代表的疾患でよく使われる代表的な薬品名も今後の試験対策の一つに入れておく必要があるだろう。

 肝硬変の食事療法を理解する前提として、代償期非代償期の病態についてよく理解しておく必要がある。一言でいえば、非代償期になると肝臓の機能低下による症状(黄疸、腹水、浮腫、肝性脳症など)が出てくるということだが、代償期と非代償期の病態の違いと見分け方について教科書でよく復習しておこう。

①高アンモニア血症とは?その対策は?
 タンパク質が代謝され分解されるときにアミノ基からアンモニアが発生する。有害なアンモニアは肝臓の尿素回路(オルニチン回路、クレブス・ヘンゼライト回路ともいう)で無害な尿素に変換される。非代償期になれば、尿素回路も回らないので高アンモニア血症になる。その対策はアンモニアの発生源であるタンパク質を制限することである。よって、aは×。
 その他の対策として、分岐鎖アミノ酸摂取の比率を高くすることがある。分岐鎖アミノ酸は筋肉タンパク質の分解を抑制する。また、分岐鎖アミノ酸が分解するときにできるグルタミン酸がグルタミンに変換されるときにアンモニアを取り込む。このような作用により高アンモニア血症の改善に有効であるとされている。一粒で2度おいしいということだ。
 その他の対策として、便秘の改善がある。肝硬変でのアンモニアの産生源としてもっとも大きいものは腸内細菌である。便秘は腸内細菌によるアンモニア産生を助長する。ラクツロース(ラクチュロースよりラクツロースと表記するほうが一般的)は二糖類で、腸内乳酸菌により分解されて乳酸と酢酸を産生する。すると腸内のpHが下がりアミノ酸を分解する細菌の増殖を抑制する。また、ラクツロースには便軟化作用があり便秘を改善する。ラクツロースも一粒で2度おいしいということだ。よって、cは○。

②肝硬変とフィッシャー比
 アミノ酸のうち分岐鎖アミノ酸は主に筋肉で代謝され、芳香族アミノ酸は主に肝臓で代謝される。肝硬変では、門脈圧亢進によりインスリンが肝臓を通らずに体循環に入るので高インスリン血症になる。そのために筋肉での分岐鎖アミノ酸の取り込みが増加する。一方、肝臓での芳香族アミノ酸の取り込みは低下する。その結果、血中のフィッシャー比(分岐鎖アミン酸÷芳香族アミノ酸)は低下する。これを是正するためには分岐鎖アミノ酸を投与する。分岐鎖アミノ酸は1粒で3度おいしい。よって、dは×。

③肝硬変では、なぜ腹水が出現するのか?
 肝硬変では血清アルブミンの低下により膠質浸透圧が低下して浮腫が起きやすい。さらに、ホルモンの代謝障害により高アルドステロン血症になり、Naが貯留して体液量が増えるので、余計に浮腫か起きやすい。さらに、門脈圧が高くなっているので、腹腔に水分が出てきやすい。などの要因により、肝硬変では腹水がたまりやすい。これに対する対策は体液量を減らすことで、その1つがNa(食塩)の摂取制限である。よって、bは○。

正解はbとcが○で(4)
by kanri-kokushi | 2006-06-09 10:56 | 第20回管理栄養士国家試験 | Comments(0)