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臨床栄養学

20-141.手に化膿創のある人が作ったおにぎりを食べ、3時間後に悪心嘔吐をきたした。食中毒の原因菌として考えられるのはどれか。
(1)カンピロバクター
(2)腸炎ビブリオ
(3)緑膿菌
(4)ブドウ球菌
(5)腸管出血性大腸菌O-157

 細菌性食中毒に関する問題だ。細菌性食中毒の分類、主な原因菌、感染経路、症状が現れるまでの時間(潜伏期)などについてまとめておこう。

①主な原因菌は?
 平成16年度の速報値では以下のとおり。(国民衛生の動向2005年版)
 1.カンピロバクター(558件)、2.サルモネラ属菌(225件)、3.腸炎ビブリオ(205件)4.ブドウ球菌(55件)、5.ウェルシュ菌(28件)、6.病原性大腸菌(ベロ毒素産生以外)(27件)、7.セレウス菌(25件)、腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生)(18件)

②細菌性食中毒の分類
 大きく毒素型感染型中間型の3つに分類できる。
 毒素型は食品中で細菌が増殖し、そこで産生された毒素を摂取することにより発症するもので、黄色ブドウ球菌ボツリヌス菌セレウス菌が代表である。これらは潜伏期が短いのが特徴で、数時間以内に嘔吐、腹痛、下痢などの症状がでる。皮膚の化膿創、糞便、ペットなどが感染源になる。毒素は耐熱性なので、加熱による殺菌は無効である。
 感染型は汚染された食品を摂取後、消化管内で細菌が増殖して発症するもので、サルモネラ菌腸炎ビブリオカンピロバクター病原性大腸菌(ベロ毒素産生以外)エルシニアなどが代表である。サルモネラ菌は食肉、生卵、ペットなどが感染源になり、夏に多い食中毒である。腸炎ビブリオは海水中に存在し、魚介類の生食、まな板の汚染などが感染源になる。カンピロバクターは鶏肉、生卵、生乳、家畜、ペットの糞便に汚染された食品などが感染源になる。一般に潜伏期は毒素型より長い。サルモネラ菌は6~48時間、腸炎ビブリオは6~20時間、カンピロバクターは2~7日である。
 中間型は消化管内で増殖した細菌が毒素を産生するもので、腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生)ウェルシュ菌セレウス菌が代表である。

よって、問題文の「手に化膿創」と「3時間後」ということから、正解は(4)。
by kanri-kokushi | 2006-06-19 16:50 | 第20回国家試験 | Comments(0)