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臨床栄養学

16-18.胆管結石症の患者(55歳女性、身長152cm、体重60kg)で、検査の結果は血圧135/82mmHg、総ビリルビン3.5mg/dl、白血球数11,500/mm3、GOT(AST)225IU/l、GPT(ALT)243IU/l、ALP344IU/l である。正しいものの組合せはどれか。
a.1日当たりの給与栄養量は、エネルギー2,000kcal、脂質50gが妥当である。
b.1日当たりの給与栄養量は、エネルギー1,500kcal、脂質30gが妥当である。
c.1日当たりの給与栄養量は、エネルギー1,000kcal、脂質10gが妥当である。
d.G0T(AST)、GPT(ALT)、ALPは基準値範囲内である。
e.本患者では黄疸がみられる。
(1)aとd(2)aとe(3)bとd(4)bとe(5)cとd

 久しぶりの症例問題だ。
 まず、胆管結石症という診断がついている。55歳女性。なるほど。身長152cmと体重60kgが示されれば必ずBMIと標準体重を計算しよう。この人のBMIは26.0で、肥満の診断基準である25をわずかに超えている。標準体重は50.8kgだ。血圧は135/82mmHgということで、収縮期血圧が正常高値血圧に達している。
 それでは血液検査の結果を見てみよう。ビリルビンの基準値は0.3~1.2mg/dlで、2~3mg/dlを超えると皮膚が黄色くなる。小数点のある基準値は覚えにくいので、1mg/dl以下が正常、2mg/dl以上が顕性黄疸、1~2mg/dlが潜在性黄疸と覚えておこう。この人は3.5mg/dlだから黄疸がある。胆管胆石のために胆汁のうっ滞が起こっているようだ。
 白血球が1万を超えているぞ。つまり、炎症が起こっている。胆嚢炎か胆管炎を併発している可能性がある。
 さて、GOT(AST)とGPT(ALT)。この基準値を正確に覚えておく必要はない。大体、測定施設によって微妙に違うのだ。ごく大雑把に50未満であれば正常、50~100で軽度上昇、100~500で中等度上昇、500以上で高度上昇と覚えておこう。この人は中等度上昇だから、中等度の肝細胞障害が存在していると考えよう。
 ALPはどうだろう。ALPとはアルカリホスファターゼの略で、これは胆道系酵素の1種で胆汁うっ滞で上昇する。さて、基準値だがこれは測定方法によって大きく異なる。「エッセンシャル臨床栄養学第3版」(医歯薬出版)では86~252IU/l、「臨床栄養学総論」(東京化学同人)では100~280U/l、「臨床検査法提要」(金原出版)では120~370U/l、「検査値の読み方、考え方」(メディカルビュー社)では115~359U/l。症例問題は検査値が基準範囲外にあるときにどう考えるかということが大事なのであって、基準範囲内かどうかそのものを問題にしても意味がない。こんな問題を思いつくこと自体、臨床を知らない出題者なのだろう。
 まあ、それはともかく、以上の考察でdは×、eは○ということが分かる。すると選択肢は(2)か(4)が正解ということになる。
 それでは食事療法を考えよう。まず、エネルギー。とりあえず標準体重×30kcalで計算すると1524kcalになるので1500kcalでいいだろう。2000kcalでは標準体重あたり39kcalで多すぎる。1000kcalでは標準体重あたり19.7kcalで少なすぎる。脂質エネルギー比はaで22.5%、bで18%、cで9%だ。胆石症の発作予防のためには脂質を軽度制限しているbでいいだろう。ただし、腹痛や発熱を伴う急性期の患者であれば、cという選択もありうるが、問題文にそのような記載はない。しかも、cとeという組み合わせの選択肢はないので、(4)が正解だろう。

正解は(4)
by kanri-kokushi | 2006-12-25 15:37 | 第16回管理栄養士国家試験 | Comments(0)