2007年 01月 29日
生化学
a β-カロテンは小腸粘膜では、ビタミンAに変換されない。
b レチノイン酸は細胞内の受容体と結合して、DNAからのmRNAの転写調節に関与する。
c 肝臓に貯蔵されるビタミンAは、遊離型レチノールである。
d オプシンは、シス型レチナールと結合してロドプシンとなる。
(1)aとb(2)aとc(3)bとc(4)bとd(5)cとd
ビタミンについて教科書で調べると、化学構造、消化吸収、体内の代謝、生理作用、排泄などがいろいろなところに書いてあって、あちこちページをめくりながら整理しなければならないので面倒くさいですね。こういうのは1ヵ所にまとめて書いておいてほしいですね。
①ビタミンAの構造
ビタミンAは構造により、アルコール型のレチノール、アルデヒド型のレチナール、カルボン酸型のレチノイン酸の3種類がある。
②ビタミンAの消化と吸収
ビタミンAの供給源は、動物性食品由来のレチノールと植物性食品由来のカロテノイドである。食物中のレチノールは脂肪酸とエステル結合したレチニエルエステルとして存在し、小腸内で加水分解されてレチノールとして小腸粘膜に吸収される。吸収されたレチノールは再び脂肪酸とエステル結合してキロミクロンにより肝臓に運ばれる。
α-、Β-、γ-カロテンとクロプトキサンチンは体内でビタミンAに変換されるためにプロビタミンAと呼ばれる。このうち生理活性がもっと強いのはΒ-カロテンである。Β-カロテンは小腸や肝臓で開裂酵素の作用により2分子のレチノールを生じる。
③ビタミンAの貯蔵と体内での移動
肝臓に運ばれたビタミンA(レチノール)は脂肪酸エステル結合したレチニエルエステルの形で肝臓のディッセ腔に存在する伊東細胞に貯蔵される。
ビタミンAが体内を移動するときは、脂肪酸が取れて遊離型レチノールになり、レチノール結合タンパク質(RBP)と結合して血液中に放出される。そして全身に運ばれ、標的細胞に取り込まれて利用されることになる。
④ビタミンAの作用機序
標的細胞に取り込まれた遊離型レチノールは、細胞内で細胞性レチノール結合タンパク質(CRBP)と結合し、レチナール、レチノイン酸に代謝される。レチノイン酸はビタミンAの活性型であり、核内にあるレチノイン酸受容体と結合して、転写因子として特定の遺伝子の発現を調節することによりその作用を発揮する。転写因子とはDNAのプロモーター領域の特定の場所に結合してDNAからmRNAへの転写を促進または抑制する因子のことである。
視覚機能の関わるビタミンAはレチナールである。網膜の杆状体にあるロドプシンは、タンパク質であるオプシンとシス型レチナールがシッフ塩基で結合したもので、光の刺激を受け取る視物質である。ビタミンAが不足するとロドプシンの合成が障害されるので夜盲症になる。
以上、bとdが正しいので、正解は(4)