人気ブログランキング | 話題のタグを見る

生化学

16-101.ヒトにおける脂肪酸代謝に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)脂肪酸合成の初発反応は、マロニルCoAの脱炭酸によるアセチルCoAの生成である。
(2)脂肪酸合成は、β酸化を逆行する反応である。
(3)脂肪酸合成に用いられる還元剤は、NADP+の還元型(NADPH)である。
(4)飽和脂肪酸を不飽和化する代謝経路は存在しない。
(5)ケトン体は、主として肝臓外で合成され、肝臓でエネルギー源として利用される。

①脂肪酸の分解
 脂肪酸とは炭素が1列に長く並んでいて、その端っこにカルボキシル基(COOH)がくっついた構造をしている。脂肪酸を分解する反応のことをΒ酸化という。脂肪酸は細胞質でCoAと結合してアシルCoAになってミトコンドリアに入る。このときカルニチンが運搬体として働く。このことからカルニチンは脂肪の燃焼を促進するとしてサプリメントとして利用されている。実際にダイエット効果があるかどうかは不明だが・・・。脂肪酸を構成する炭素はカルボキシル基がある方からα、Β、γと順に名前がついていて、Β位の炭素が酸化されて炭素2つずつ切断され、アセチルCoAができる。アセチルCoAはクエン酸回路に入ってエネルギーを産生する。よって、このような脂肪酸分解をΒ酸化という。Β酸化にはアシルCoA脱水素酵素、エノイルCoA加水酵素、3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素、アセチルCoAアシル転移酵素の4つの酵素が関わっている。

②脂肪酸の合成
 脂肪酸はほとんどの細胞で合成可能であるが、肝臓、脂肪組織、腎臓、乳腺での合成が多い。脂肪酸合成の第1段階は、アセチルCoAがアセチルCoAカルボキシラーゼによりマロニルCoAになることである。後はマロニルCoAを次々につないでいって長い脂肪酸できる。この反応は脂肪酸合成酵素によって行われる。いうまでもないが、Β酸化と脂肪酸合成は単なる逆反応ではない。脂肪酸合成は炭素の還元反応である。つまり炭素の結合している酸素引きはがし、電子を与える反応である。よって、電子を供給する物質がいる。細胞内には還元反応に関わる主要な補酵素としてNADHとNADPHがあるが、脂肪酸合成ではNADPHが還元剤として使われる。ちなみにNADHは解糖とクエン酸回路で放出された電子を電子伝達系に運ぶ役割を演じている。

③不飽和脂肪酸の合成
 不飽和脂肪酸とは脂肪酸の隣り合った炭素と炭素の二重結合で結ばれているものである。マロニルCoAから作られた脂肪酸は二重結合をもたないので飽和脂肪酸という。不飽和脂肪酸は不飽和化酵素の作用により飽和脂肪酸に二重結合を導入して生成する。哺乳類の不飽和化脂肪酸はカルボキシル基から数えて9番目の炭素までは二重結合を導入することができるが、それ以上離れた場所に二重結合を導入できない。よって、12番目や15番目に二重結合があるリノール酸とα-リノレン酸を合成できないので食物から摂取する必要がある。(必須脂肪酸)

④ケトン体の合成と代謝
 Β酸化により生成したアセチルCoAはクエン酸回路に入るが、飢餓時や糖尿病でインスリンが絶対的に不足した時は糖新生が活発になるためにアセチルCoAがクエン酸回路に入れなくなる。その理由は、アセチルCoAがクエン酸回路に入るためにはオキサロ酢酸と結合することが必要だが、オキサロ酢酸が糖新生の材料として使われて不足するからだ。すると細胞内にアセチルCoAが蓄積してくる。すると補酵素であるCoAが不足してくる。するとΒ酸化ができなくなる。そこでアセチルCoAとアセチルCoAが結合してアセトアセチルCoAができる。その時放出されるCoAによりΒ酸化が持続する。そのあと何段階かあってケトン体(アセト酢酸、Β-ヒドロキシ酪酸、アセトン)ができる。ケトン体は肝臓で作られ血液中に放出され骨格筋、腎臓、脳などでアセチルCoAに変換されてクエン酸回路に入り、エネルギー源として利用される。血液中のケトン体が増加した状態をケトーシスといい、そのために血液のpHが低下した状態をケトアシドーシスという。

正解は(3)
by kanri-kokushi | 2007-02-21 11:47 | 第16回管理栄養士国家試験 | Comments(0)