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生化学

16-102.アミノ酸のアミノ基転移反応に関する記述である。誤っているのはどれか。
(1)アミノ酸のα-アミノ基は、アミノ基転移反応によって再利用される。
(2)アミノ基転移反応は、トランスアミナーゼによる不可逆反応である
(3)アスパラギン酸は、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸となる。
(4)プロリン、ヒドロキシプロリンは、アミノ基転移反応を受けない。
(5)アラニンは、アミノ基転移反応によりピルピン酸になる。

①アミノ酸の構造について
 まずはアミノ酸の構造から復習しよう。教科書を開けてアミノ酸の基本構造の図を見てみよう。真ん中に炭素があって4本の手が出ている。その手には水素(H)、アミノ基(NH3+)、カルボキシル基(COO-)、Rが結合している。Rは側鎖で20種類ある。よって、アミノ酸は20種類あることになる。真ん中の炭素をα炭素というが、4つの手に結合しているものが全て異なるときのα炭素を不斉炭素といい、L型とD型の2種類の鏡像異性体ができる。タンパク質を構成するアミノ酸はすべてL型である。ただし、グリシンの側鎖は水素なので不斉炭素にはならない。α炭素にアミノ基とカルボキシル基が結合したアミノ酸をαアミノ酸といい、結合しているアミノ基とカルボキシル基をそれぞれαアミノ基、αカルボキシル基という。

②アミノ基転移反応について
 さて、アミノ酸からアミノ基をとるとαケト酸ができる。一方、αケト酸にアミノ基をくっつけるとアミノ酸ができる。つまり、次のような反応(アミノ基転移反応)が起こる。
アミノ酸A + αケト酸C ⇔ αケト酸D +アミノ酸B
 アミノ酸Aからみれば脱アミノ反応であり、αケト酸Cからみればアミノ酸Bの合成ということで、このことをアミノ基の再利用ということができる。この反応は可逆的である。よって(2)は誤り。

③トランスアミナーゼについて
 アミノ基転移反応はいろいろなアミノ酸といろいろなαケト酸との間で起こるが、肝機能検査で使われえるトランスアミナーゼAST(GOT)とALT(GPT)はそれぞれ以下のアミノ基転移反応を触媒する酵素である。
AST(GOT):アスパラギン酸 + 2-オキソグルタル酸 ⇔ オキサロ酢酸 + グルタミン酸
ALT(GPT):アラニン + 2-オキソグルタル酸 ⇔ ピルビン酸 + グルタミン酸
 よって、(3)と(5)は正しい。

④プロリンとヒドロキシプロリンの構造について
 プロリンとヒドロキシプロリンは教科書で化学構造を確認しよう。窒素の2本の手は2つの炭素と結合しており、アミノ基の形になっていない。よって「アミノ基転移反応を受けない」というのは正しい。

正解は(2)
by kanri-kokushi | 2007-02-21 18:28 | 第16回国家試験 | Comments(0)