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人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

21-38 循環器疾患に関する記述である。正しいのはどれか。
(1)心房細動の治療には、自動体外式除細動器(AED)が用いられる。
(2)不整脈では、意識障害をきたさない。
(3)左心不全では、頚静脈の怒張がみられる。
(4)心筋梗塞の主因は、プラークの破綻である。
(5)二次性高血圧としては、内分泌性のものが最も多い。

管理栄養士国家試験としては難問に入る。今後、このレベルの知識を要求されると厳しいな。

①不整脈?
 国家試験出題基準の小項目に「不整脈」なんて載ってないぞ。だから、授業では取り上げてこなかったぞ。だけど、これで、今後、不整脈が出題される可能性が否定できなくなったぞ。ということは、来年からは授業で取り上げることになるぞ。すると扱う疾病が増えて、1つの疾病にかける時間が少なくなるぞ。そうすると、栄養学科の学生は、ますます授業についてこれなくなるぞ。困ったことだ。
 さて、心房細動。心房の壁の筋肉が不規則にブルブル震えている状態で、心房収縮ができなくなった状態をいう。心房からの刺激が不規則に心室に伝わるために、心室収縮の間隔が不規則になり、その結果、脈が不整になる。治療は薬物療法と電気的除細動がある。AEDは、主に市民が行う一次救命処置において使用する除細動装置で、心室細動や無脈性心室頻拍を検知して自動的に除細動を行う。心房細動の除細動は病院において医師が手動で行う。

②アダムス・ストークス発作
 不整脈の種類よっては心拍出量が減少することがある。すると脳に血液を十分に送れなくなる。すると脳機能が低下する。つまり、意識障害が生じる。不整脈が原因で意識障害を起こすことをアダムス・ストークス発作という。こんな人の名前も授業で取り上ないといけないのかな?

③左心不全と右心不全
 心不全は出題基準に乗っている。頚静脈の怒張も授業で扱っている。よって、この問題文は理解する必要がある。心不全の症状は心拍出量の低下と静脈のうっ滞を考えればよい。左心不全というのは左心室のポンプ機能が低下した状態だ。よって、大動脈に向かう血液の量が減少し、肺静脈に血液がうっ滞する。頚静脈の怒張は頚静脈に血液がうっ滞していることを示す症候である。頚静脈は上大静脈を経て右心房につながっていて、肺静脈とは直接つながっていない。頚静脈の怒張は右心不全の症候である。

④冠状動脈閉塞の病態と頻度
 冠状動脈が閉塞して心筋梗塞を起こす病態には、高度の粥状動脈硬化による閉塞、冠攣縮による閉塞、プラーク破綻に続く血栓形成による閉塞の3つがある。プラーク破綻による場合、冠状動脈の狭窄度は軽度のことが多い。これは理解しておく必要がある。さて問題は頻度だ。いくつかの内科の教科書を調べたが、「原因のほとんどはプラーク破綻で、まれに冠攣縮がある」と書いてある。日本人は冠攣縮の頻度が多いと言われ、特に女性の虚血性心疾患に多いと言われているが、主因ではない。主因はプラーク破綻である。

⑤二次性高血圧の頻度
 この問題も頻度を問うもので、答えるのは難しい。二次性高血圧は、腎実質性、腎血管性、内分泌性、血管性、薬剤誘発性に分類される。二次性高血圧が高血圧患者全体に占める割合は5%以内である。原因としてもっとも多いものは腎実質性である。ちなみに内分泌性には、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などがある。褐色細胞腫は副腎髄質の腫瘍でアドレナリンを過剰に分泌するので高血圧になる。

正解は(4)
by kanri-kokushi | 2007-08-20 11:43 | 第21回国家試験 | Comments(0)