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臨床栄養学

21-140 クレアチニンに関する記述である。正しいのはどれか。
(1)腎不全では、血中クレアチニン濃度の上昇とともに、クレアチニン・クリアランス値は上昇する。
(2)クレアチニンは、腎尿細管から分泌される。
(3)血中クレアチニン濃度上昇は、脂肪肝で見られる。
(4)筋肉量が、尿中クレアチニン排泄量に影響する。
(5)たんぱく質摂取が過剰なときは、血中尿素窒素濃度/血中クレアチニン濃度の比は低下する。

①クレアチニンの由来
 クレアチニンは筋肉細胞にたくさん含まれているクレアチンに由来する。クレアチンはクレアチンキナーゼによりクレアチンリン酸になる。クレアチンリン酸はリン酸をADPに渡してATPを産生することができる。つまり、とっさにATPが必要なときに、解糖やクエン酸回路では、たくさんの化学反応があって間に合わないので、1段階の化学反応でATP産生が可能なクレアチンリン酸が利用される。ただし、量的には少ないので数秒しか持たない。
 筋肉中のクレアチンは、一定の割合で、非酵素的にクレアチニンに代謝され、クレアチニンは尿中に排泄される。つまり、クレアチニンはクレアチンの老廃物というわけだ。ということは、尿中クレアチニン排泄量は筋肉量に比例するので、(4)は〇。これが、クレアチニン身長係数が骨格筋量の栄養パラメーターとして利用される理由だ。

②クレアチニンの排泄
 クレアチニンは小さな分子なので糸球体で水と一緒に濾過される。尿中に排泄されるクレアチニンの大部分は糸球体で濾過されたものだ。しかし、少量ではあるが、尿細管からも分泌されることが知られているので、(2)は〇。

③クレアチニン・クリアランスとは?
 クレアチニン・クリアランスとは、一定時間中に排泄されたクレアチニンの量をクレアチニンの血中濃度で割って算出する。つまり、一定時間中に排泄されたクレアチニンが血液中で存在していたときの体積を求めたことになる。つまり、一定時間中に、それだけの体積の血液がきれいになったと考えられる。これがクレアチニン・クリアランスだ。
 クレアチニンは尿細管から少量分泌されるが、それを無視して、すべて糸球体から濾過されたものとすると、クレアチニン・クリアランスは糸球体濾過値に一致する。腎不全で糸球体濾過値(クレアチニン・クリアランス)が低下すると、血液中にクレアチニンが停滞するので血中濃度は上昇する。よって(1)は×。

④血中尿素窒素濃度/血中クレアチニン濃度
 クレアチニンの産生量を決めるのは筋肉量であり、食事には影響されない。一方、尿素窒素の産生量は体内のタンパク質燃焼量によって決まり、タンパク質燃焼量は食事中のタンパク質量が増えると増加する。よって、タンパク質摂取が過剰なときは、血中尿素窒素濃度/血中クレアチニン濃度の比は上昇するので、(5)は×。

⑤脂肪肝とクレアチニン
 脂肪肝とクレアチニンは直接関係しないので、(3)は×。

正解(2)と(4)
by kanri-kokushi | 2008-06-21 15:45 | 第21回国家試験 | Comments(0)