2008年 12月 07日
臨床栄養学
(1)新生児メレナの原因である。
(2)エネルギー摂取量は、40~45kcal/標準体重kg/日とする。
(3)インスリン療法は禁忌である。
(4)経口血糖降下薬で治療する。
(5)新生児低血糖に対する注意が必要である。
①妊娠糖尿病とは?
妊娠中に発症、もしくは初めて発見された耐糖能低下を妊娠糖尿病という。この中には以下の3つの病態が含まれる。(1)妊娠中に軽い糖代謝異常が初めて出現し、分娩後正常化するもの(狭義の妊娠糖尿病)、(2)以前から軽度の糖代謝異常があり、妊娠中初めて糖尿病型を呈するに至ったもの、(3)以前から未発見の糖尿病があり、妊娠中の検査で初めて発見されたもの。
すでに糖尿病が明らかで妊娠した場合は、「糖尿病合併妊娠」という。
②新生児メレナとは?
生後2~4日に発症する消化管出血で、ビタミンK欠乏による血液凝固因子の不足が原因である。妊娠糖尿病とは関係ない。よって(1)は×。
③妊娠糖尿病および糖尿病合併妊娠の何が問題か?
母体の問題として、ケトアシドーシス、網膜症・腎症の悪化、流産、早産、妊娠中毒、羊水過多症、尿路感染症などが起きやすくなる。
胎児の問題として、奇形、巨大児、HFD児(heavy-for-date infant)、新生児低血糖、黄疸、多血症、低Ca血症、呼吸障害などが起きやすくなる。これらは、母体の高血糖および胎児の膵β細胞が過形成による高インスリン血症が原因である。よって(5)は○。
④妊娠糖尿病の管理は?
妊婦の摂取カロリーは、妊娠前半においては標準体重×30kcal+150kcalとし、妊娠後半においては標準体重×+350kcalとする。標準体重当たり40~45kcalは多すぎる。よって(2)は×。
高血糖自体が妊婦と胎児にとって危険なことなので、妊娠糖尿病はインスリンにより厳格にコントロールすることが原則である。経口血糖降下薬は胎盤を通過して新生児低血糖を助長するので使用しない。また、経口血糖降下薬の胎児に対する安全性も確立されていないので、妊娠を希望する糖尿病患者は2型糖尿病であっても、妊娠前からインスリン療法に切り替えるのが原則である。よって(3)と(4)は×。
正解(5)